こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

左弾きベース道中(17)〜フレットレス入手記・2:見た目編〜

 そんなわけで、「今後欲しくなったときのために備えて、モノがある内に買っておこう」という、著しく非ロックンロール的な動機によってレフティのフレットレス・ジャズベを4万5千円(本当はもっと安くで買えたのに)にてデジマートで注文したのであった。郵便局にて入金、それを店舗が確認して発送という形で、商品が届いたのは注文から4,5日後であったか。なぜかギブソン段ボール箱に梱包されて、ブツは届いた。


 2枚目の画像から見て取れるように、紛う方なきフレットレスである。フレットラインがあるのは邪道という考え方も判らんじゃあないが、フレッテッドに慣れた者にはやはり重宝だし、このベースについて言えばそもそもフレッテッドから改造したものなのだからラインが残るのは致し方ないことでもある。
 持ってみてまず思ったのは「意外と軽い」であった。店舗の情報によると重量は3.94kgだそうである。ジャズベとしては平均的な重さのようだが、僕が最初に買った右用のジャズベよりも軽いように感じる。
 勿論個体差ということもあろうが、フレットを抜いている(削っている?)ことが地味〜に重量に関わっているのではないか。あとピックガードもないしな。何にせよ最近腰痛気味なので軽いのは有り難い(この点、ヘフナーは本当に有り難い)。
 結構傷があって、所々えぐれもあるのだが、別に気にならない。それで安くなるなら歓迎なくらいだ。と言うか、実はキレイな個体に一箇所だけ傷がある方がむしろ気になったりするんだよな。最初から傷だらけなら却って気にならない(というほど本機に傷が多いわけでもないですが)。


 ピックガードがないと言えば、このベースは、しらす、じゃなかった、「じゃこ」仕様なのだ。色がサンバーストなのを始め、フレットラインがある、ピックガードがない、ノブが銀筒、リア・ピックアップの底からアースが出ている、等々、ジャコ・パストリアスの有名なベース("Bass of Doom"という愛称があるらしい。ルシールとかブラッキーとかとは随分違うなあ)をなかなかよく模してある・・・レフティであるという点に目をつぶれば。
 あ、あと気になるのはフラットワウンド弦が張ってあるということだな。フレットレスにフラットワウンドという組み合わせは自然じゃないかと思われようが、ジャコはラウンドワウンドを張っていたとのことである。そしてそれによる指板の傷みを防ぐために、指板にエポキシを塗っていたとかなんとか。ところが僕が買ったベースにはそのような加工は施されていない。フラットかラウンドかでは随分違うだろうに。ジャコは大好きだけれどジャコの音が出したいわけではないというヒト(ある意味で健全かも知れないな)が嘗て使っていたベースということであろうか。ちょっと来歴が気になる。
 なお、このベースは見ての通り3トーン・サンバーストであるが、よく見ると元々ピックガードがあった位置は3トーンではなく2トーンであることが判る(下画像の白丸部分を、ボディの右側と見比べて下さい)。

 ピックガードで見えない部分は手を抜いたんだなあ、ということがありありと判って微笑ましいが、フェンダーがいっとき出していたジャコのシグネチャー・モデル(まだ出してるのかな)の写真を見ると、そこでもこの部分は2トーンになっているんですね。当たり前の話かも知れないが、面白い。あ、あとボディーにやたらネジ穴が空いているのだが、これもジャコの真似なのか、無関係なのかは判らない。
 そんなこんなでなかなかに手の込んだジャコ志向が窺えて興味深いのであるが、問題は、前の記事でも述べたように、僕はジャコ・パストリアスに(今のところ)全く思い入れがない、ということである。むしろ、こんなの抱えてライブに出て「"Donna Lee"弾けよ!」とか野次られたらどうするんだよ(そこで弾けたら超格好良いんだけどね・・・練習しておこうか)。
 尤も、ジャコ風であるということを一切抜きにして見ると、この楽器の見た目は割と好きである。サンバーストという色も元々好きだし、ピックガードがないせいでこの前買い損ねたポールのヤマハBBにちょっと似ているのも嬉しい(アレはもうちょっと黄身が強かったようだが。ピックアップは逆プレベだし)。でも、その内に緑色に塗り替えてクロネコヤマトのロゴでも貼ったろうかと考えている。今まで買ったベースが、コレを含めて4本全部サンバーストなので、ハデな色のが欲しいのだ(それが自分に似合うのか、という問題もあるのだが)。


 あ、書き忘れたが、このベースの見た目で本当に気に食わないのはヘッドである。

 見ての通り、フェンダーのロゴしか入っておらず、随分閑散としている。何が欠けているのか。そう、「Jazz Bass」という機種名表示がないのである。これは(最近ちょっと変わったようだが)フェンダー・ジャパンではジャズベに限らずこうなっている。レフティは、機種名無しでブランド名だけ。
 これが、左利きの人間としては極めて腹立たしいのですね。第一に、見た目が詰まらないし手抜きっぽいということへの憤り。そしてそれに加えて、「なにか、左利き用のモノは『ジャズ・ベース』と呼びません、ってことかい?」という憤り。印刷するスペースは充分あるのに印刷しないということは、そう思われても仕方がないではないか? 被害妄想と言われればそれまでだが、とにかく僕はフェンジャパがレフティ楽器のヘッドに機種名を印刷していないという点に根強い怒りを抱えているのである。
 去年、ストラトを買った時にジャパンではなくメキシコのを買ったのも、実はそのことがあって「ジャパンのレフティーは買うまい」と思っていたのである(アメリカもメキシコも、レフティーのヘッドにも機種名を入れている)。
 と言うわけで、このヘッドも塗り替えるか、物寂しい空隙部にシールでも貼るかしよう。
 肝心の弾き心地については待て次回。