こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

左弾きベース道中(16)〜フレットレス入手記・1:購入編〜

 今年8月の「十祭」にて丸山隆平がクルーズ(Crews)のフレットレス・ベースを弾いた・・・のをこのブログで興奮気味に伝えたことがあったが(こちら)、あれ以来どうにもフレットレス・ベースが気になる(ミーハーだから)。
 もう一つ、フレットレスに関心を持つきっかけがあって、『ベース・マガジン』のバックナンバーを読んでいたら、2002年11月号(表紙はポール・マッカートニーなので買ったのだが、記事は貧弱)にcharが出ている。どうしてcharがベーマガなんかに出ているかというと、その頃に彼がリリースした『Sacred Hills』というインスト・アルバム(スティーヴィー・ワンダーの「You and I」をカバーしているというので喜んで買って、割と愛聴していた)の全編で彼自身がベースを弾いていたからである。で、そこで使用したベースがフレットレスだというのですね。80年代のフェンダー・ジャパン製の中古品で、元々はフレッテッドだったのをフレットレスに改造した状態で売られていたらしい。なお彼の最初のアルバム『char』(余談ながら「char」というのは元々彼自身の芸名ではなくアルバム名のつもりだったというのはファンには有名な話)でも全編フレットレス・ベースが使用されているという(演奏はジョージ・マスティッチ)。
 それを読んで、そうかフレッテッドから改造した中古だったら割かし安くで手に入りそうだ、フェンジャパで出ていないかな・・・とデジマートを見るのだが、そう簡単には出て来ない。何しろ探しているのはレフティなんだから。
 ・・・と思ったら、なんと丁度良い代物が出て来た。まさしくフェンジャパ製(但し90年代)、フレッテッドをフレットレスに改造したもの。4万5千円。めちゃお手頃である。
 ここで一寸説明しておくと、フレットレスのレフティというのは滅多に市場に出て来ない。あなた楽器屋さんで見たことありますか? フレットレスのレフティ。先日、デジマートで試みに「レフティ フレットレス」で検索してみると、2件出て来たが(あのデジマートで検索して2件だよ!)、その内の1件は何故かそもそもレフティではなく、もう1件は「元々フレットレスだったものにフレットを打ち込んだモノ」であった。つまり実質0件だったのだ。
 実はこれは検索の漏れというものがあって、もう少し丹念に検索を掛ければ少しは見つかるのだけれど、それでもお目当てのモノを見つけるとなると相当の難物であることは間違いない。
 そんなワケで、上記のフェンジャパが出て来たのはまさしく「めっけもの」に違いないのだが、ここでフと考え込んでしまった。
 おれは本当にフレットレスが欲しいのだろうか?
 別に「十祭」で丸山が弾いていた曲をどうしてもコピーしたい、というわけではない(というか、別にコピーしたくない)。ジャコ・パストリアスはこれまで何度も聴いてきたが、今以て好きになれない。ジャコに次いで有名なフレットレス・プレイヤーと言えばミック・カーンであろうが、聴いてみて面白いと思ったことはあるが、自分も追究したいと思うほど惹かれたわけでもない。ポール・マッカートニーが『Tug Of War』辺りでフレットレスを弾いているという噂があるが、確かではないし、別にそれを聴いて「フレットレスいいな!」と思ったこともない。同様のことは前掲のchar『Sacred Hills』についても言える。
 ・・・このように考えてみると、自分の中にフレットレスを入手する積極的な理由が何一つないことに気付かされる。そんなモン買う前に普通のジャズベを買えよ、という話だ。
 ここでまた話は脇道に逸れるのであるが、これまでに僕が購入したベースは3本で、最初に買ったのがフェンジャパのジャズベ(右用)、次いで左弾きを始めるに当たって試験的に購入した廉価版ヘフナー(インドネシア製)、そしてそれを下取りに出して買ったドイツ製ヘフナーである。今のヘフナーの音色に文句はないのだが、演奏を録音して聴いてみるとサステインに難があることと(これはコンプなどで補正可能かとも思うが、エフェクターのことを何も知らないので判らない)、ショート・スケールなので歌いながら弾く分には便利が良いが、なんとなく体に響かないというか、「弾き応え」に乏しい。なまじ最初に手に取ったベースがジャズベだけに、やはりベースはロング・スケールでなくては、という思いがずっと離れないのである。
 だからフレットレスなんぞに手を出す前にまずは普通のジャズベを買えよ、ということになるのだが(プレベも気にはなるのだが、ジャズベに慣れていると弾いていて何となくピックアップの位置に違和感が出る。まあこれも慣れかとは思うが)、ここで買い物全般に関する根本的な問題が突きつけられる。則ち、レフティ/フレッテッドのジャズベはいつでも手に入るが、レフティ/フレットレスのジャズベはそうそう手に入らない、ということである。来年のある日(例えばジャコの魅力に開眼したとかで)フレットレスがめちゃくちゃ欲しくなったとしても、その時に首尾良く手に入るとは限らない、というかそのような蓋然性はむしろ非常に低いのである。それが左弾きの世界なのだ。
 そんなわけで、「今欲しいわけではないが、今後欲しくなることを見越して今の内に買っておく」という、今までにない考えの下で楽器を買うことにしたのである。
 尤も実を言えば、これは即断ではない。上記のように「よく考えたら別にフレットレス欲しくないよな・・・」と思って、気になりつつも放っておいた期間がある。くどいようだがレフティのフレットレスなんて本当に稀にしか出ないから、これも(先日記事にしたヤマハBBのように)即刻誰かが買ってしまうだろう、いっそ自分にとってはその方がいいかも知れぬ、などと思っていたのである。ところがコレが売れないんだ何故か。今フレットレスって人気ないんですかねー。
 結局デジマート上に登録されてから3週間以上経って僕が注文したというわけである。出品しているのはイシバシ楽器梅田店。よってコンディションを自分で確認することはできない。初めて通販で楽器を買うはこびとなった。
 ここで一言忠告を。デジマート上の通販でも申告したらちゃんとイシバシ楽器のポイントが溜まったので良かったのだが、実はこの時ちょうどイシバシ楽器がセール中だったので、デジマートからではなくイシバシ楽器のウェブサイトから直接注文すれば、もっと安くで購入できたのである。僕はデジマートで注文したすぐ後でそのことに気が付いたので、臍を噛む思いがした。読者諸兄も、デジマートから買う前に、出品元の楽器屋のサイトをチェックしてみることをお勧めする。(つづく)