こんなんだったっけ日記

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関ジャニ∞『Re:LIVE』感想(後編)

 前編はこちら。

 さて後編。1曲入りのCDにツアー2公演分のDVD2枚が付くという前代未聞の仕様。これで売上げ上はシングルCDに含まれるというのは殆どサギではないか。明らかにオモチャがメインなのに小さいラムネを入れてお菓子売り場に置くようなものだ。とは言え、安価でツアー映像が見られるのだから有り難いには違いない。
 私は近年の関ジャニ∞のライブを、(生でもビデオでも)見ていない。見た中で最新は『JUKE BOX』ツアーDVDか。『関ジャム』とかで単曲の演奏を見てはいたが。

 渋谷と錦戸という文字通りの二枚看板を失ったグループがどういうショーを見せるのか、チェックする良い機会であった。

 

 2公演(愛媛・高知)とも、オープニングは新曲「歓喜の舞台」。私はここで初めて聴いた。雰囲気としては、希望を高らかに歌い上げる感じが「Re:LIVE」と相通じる。どちらも良い曲である。

 1枚に1公演が収められているということで、抜粋なのだろうと思ったら、フルセットらしい。今回は長期のツアーということもあってかコンパクトなセットだったようだ(私は概して今のライブは長すぎると感じるので、これは文句ない)。

 セットリストは、かなり不思議な選曲である。渋谷・錦戸と、言わば"主力"メンバーが立て続けに抜けて(有り体に言えば)グループの魅力が低下している状態で、しかもアルバムを出しているわけでもないのだから、この時期のツアーと言えば、普通に考えればベストヒッツ的なものになるのが自然だと思う。ところが、この2公演のセットリストを見ると、シングル曲がかなり抑え目である。

 もちろん最新シングルの「友よ」は本編シメでやっているし、「今」「EJコースター」のような準シングルと言うべき曲も織り込んではいるが、全体的に見ればアルバム曲・シングルB面曲を明らかに意識的に採り入れている。この時期にやる冒険じゃないだろと他人事ながら心配になってしまうが、チャレンジ精神(意図はよく分からないけど)が感じられて私としては嬉しい。

 しかも、アルバム曲・シングルB面曲の中でも、「WASABI」のような人気曲だけでなく、比較的レアな曲も幾つも取り上げているのが興味深い。

 「浮世踊りビト」(『Wonderful World!!』B面)は実に嬉しい選曲で(ほんとにカッコイイ曲だ)、人気曲でもあると思うけど、演るのは『∞UPPERS』ツアー以来じゃないだろうか?

 「ナントカナルサ」は、人気あるのかどうか知らないけど、個人的には(そこまでハデではないながら)割と好きな曲なので嬉しかった。オープニングの村上・丸山も楽しそうで何より。

 とりわけ驚いたのは「myself」だった。『へそ曲がり/ここにしかない景色』のカップリングである。かつて記事にもしましたが(https://smith13ri.hatenablog.com/entry/20130429/1367216682)、いい曲だよなあコレ。これまでライブで演ってないのでは? まさか今になって聴けるとは思わなかった。とても嬉しい。「ロイヤルミルクストーリー」に次ぐB面名曲だと思う。

 しかし、なんと言っても最重要は「ふりむくわけにはいかないぜ」だろう。元々めちゃめちゃ好きな曲だが(https://smith13ri.hatenablog.com/entry/20151231/1451493031)、この状況下でこの曲を採り上げたその心意気を痛いくらいに感じるし、頑張れ!と声援を送らないではいられない。

 

 余計かも知れないが、折角なので気になった点もメモしておく。まず、あの「CHUU」というやつは何なのだ。私はちょっと耐えられずに飛ばしてしまったので、論評する資格はないが。あとなんで名前を「KICYU」にしなかったんだろ。

 あと、どうしてもバンド形態のことが気になるのだが、正直言って、横山はトランペットに向いてないんじゃないかと思う。CHUU「メタメタ」の演奏(見てるんじゃん)は擁護しようがない。「クラゲ」みたいにボヤけた音が合っている曲なら良いのだが、トランペットでハリのある音が出せないのは根本的問題と思う。人数が減って編成の問題もあるから、今からでもギターを練習してもらいたい。編成で言えば、村上の鍵盤、もっとガンガン鳴らしてくれなきゃ不満だなあ。

 それから、MCが妙に力ないのが気になった。アンコールの時とか。特に横山は「暗い」とさえ思える。なんかあったのかな。

 

 渋谷・錦戸が抜けた分の歌唱をどう埋めるのか、というのが一つの気がかりだったわけだが、例えば「キング オブ 男!」の大サビ前半(♪愛する女のためだけ~)、渋谷と錦戸の掛け合いが印象的だったが、丸山と安田が担当していてフムフムと思ったりした。「ふりむくわけにはいかないぜ」のサビ前の「絶対!」は渋谷が一貫して担っていたが、横山と村上がそれを担っているのは、なんか心に残るものがあった。

 あ、関係ないけど、舞台背景の∞マークが8色あったのも印象的だったなあ。

 

 一通り観てみて、全体への印象としては、安心というか、「充分楽しませるじゃないか」という思いだった。

 他方、率直に言うと、あの2人の穴を埋めるのは容易ではないし、この時点で充分に果たせているとも思わない。望むべくんば、各人の声にもっと存在感が出ればいいなあと思う。

 ただ悪いことばかりでもない。5人というのは、男性歌手グループの数としては、各人のバランス配分という点でむしろ以前より適当だと思う。これを活かしたい。今回の映像を見ていると、例えば村上がセンターに来る隊列なんかもしばしば見ることができて、新鮮だった。渋谷・錦戸が抜けて、「その他5人」として活動していくのではなく、むしろ5人が各人の存在感をこれまで以上に増していく形で音楽グループとして成長していってくれることを切に願っている。