こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

要チェックや!

 ポール・マッカートニーという唯一無二の大名長者を除くとどうにもパッとしない「レフティ・ベーシスト界」であるが、そんな中で貴重な一人がキングズXのダグ・ピニックである。キングズXは日本ではあまり人気がないのか、ウィキペディア日本語版にも項目が立っていないけれども、格好良いバンドである。暫く前に出たダグのソロ曲「That Great Big Thing」も格好良かった。

 そんなダグ・ピニックが新しいバンドを組んだということは、愛読サイト『amass』(amass.jp アマッスってどういう意味なんだろ)で知っていたが、曲はチェックせずに済ませていた。しかしフと気が向いて聴いてみると、これが格好良いんですね。ジミヘンの空気を濃厚に匂わせながら、きっちり現代の音になっている。レニクラよりも好みかもしれない。


 トリオ編成で、ダグがベースとボーカル、ドラムはトーマス・プリジェンという人で、かつてマーズ・ヴォルタで叩いていたそうだ(あそこのドラマー遍歴はちょっと訳判らんよな。それはそうといつの間にか解散していてびっくり)。ギターはエリック・ゲイルズという人(ボーカルも担当)。全員黒人のロック・バンドだ。
 で、上のPVを観ていてハッと目を引いたのが、ダグのみならずこのエリックというギタリストも左弾きなのだ。上記のPV(特に一つ目の「Every Step Of The Way」)からハッキリ見て取れるように、彼は右用の楽器を、弦を張り替えずにそのままひっくり返して弾くという、アルバート・キング式の弾き方である。なおダグは素直に左用の楽器を弾くポール・マッカートニー式。
 トリオなので、フロントの二人が二人とも左弾きをしているという、非常に面白い構図になっている。
 そうなると気にせざるを得ないのがドラマーである。トーマスは、観たところ右用のドラム・セットを叩いている。しかし念のためにウィキペディア英語版(僕はネット上でウィキペディアを典拠にして平然としている記事は軽蔑しているが、そのくせ自分ではしょっちゅう典拠にしている)を見てみると、なんとなんとなんと、「Pridgen is also naturally left-handed, but plays the drum kit as if he is a right-hander with his kit set-up right-handed.」とあるではないか! なおこれはリンゴ・スター式である。
 つまりこのバンドは、メンバー全員が左利きであるのみならず、「左用の楽器を使う」「右用の楽器をひっくり返して使う」「右用の楽器をそのまま使う」と、三者三様の環境適応を選択した者によるバンドなのである。
 多分、音楽史上初の形態ではなかろうか。要チェックや! みんなで応援しよう(註:左利き人民に呼びかけている)。
 あ、申し遅れましたがバンド名は「ピニック・ゲイルズ・プリジェン(Pinnick Gales Pridgen)」である。エマーソン・レイク&パーマーとか、ジョニー・ルイス&チャーとかと同種の名付けだな(&はないけど)。