こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

十五年目の発見

 僕は小学5年生の頃からサーフィスのファンをやっているが、庶民の哀しさでずっと貧弱な音響環境に寄り掛かって彼らの(というか、サーフィスに限らず全ての)音楽を享受してきた。細かい音を聞き分けるにはちゃんとしたイヤホンないしヘッドホンが求められるが、ずっと1000円前後のイヤホンを不満もなく使用してきた。
 ところが2年位前に、別に庶民を抜け出たわけではないのだけれども、思い切ってDENONのAH-D510というヘッドホンを買った。これにしたって5000円程度なので「底なし沼」のオーディオ世界においては全くの安物に相違ないのだが、それでも音環境としてはかなりの向上が実現した。特に最近、「貧弱音響時代」に親しんでいたCDをこの新しい(つっても2年前に買ったんだけど)ヘッドホンで聴き直してみると、以前には「聞こえなかった」色々な音が聞こえてくるもんで、環境改善を益々実感している次第である。
 さて、つい先程、サーフィスの楽曲について驚くべき発見をしたので興奮ついでにここに書き留める。僕にとってはまさしく十五年目の「発見」なのだが、まともな音響でサーフィスを聴いてきた人には全く以て今更な話であろう。そういう人は読まなくて宜しい。
 さて。去年の10月に椎名が『Phase』の完全セルフカバーのアルバムというものを出したわけだけれども、それと同日に配信限定でサーフィスの曲に限定したアンプラグドのライヴ・アルバムというのもリリースされた(「Strip Or Stripper -Type A-」SURFACE side)。実を言うと『Phase』よりもこっちの方を面白く聴いたという面が無きにしも非ずなのだが、それはともかくとして、このライヴ・アルバムの中では、オリジナルの『Phase』以前にリリースされながらアルバムに収録されなかった唯一の曲である「Room」(『なにしてんの』のカップリング)が演奏されている。
 で、このライヴ演奏において、最後の大サビの前半ラスト、オリジナルでは「こんな気持ちじゃ、Wow...」となっている部分が、「こんな気持ちじゃ、僕には何もできないよ」という語りになっている。僕は、コレは今回リアレンジされた部分であると信じて疑わなかったのであるが、ついさっき、作業中にサーフィスの曲をランダムでBGMにしているのを上記のヘッドホンで聴いていると、「Room」が流れてきた。で、件の「こんな気持ちじゃ、Wow...」のバックに、なんとなんとなんと、「こんな気持ちじゃ、僕には何もできないよ」という語りが入っているのが「聞こえて」きたのである。いやあビビリましたねえ。
 まあ「Room」という曲自体が、上記のようにアルバムに入っていない(ベスト盤には入ってるけど)せいで、『Phase』期の他の曲に較べると「聴き込み度」が低いということはあるのだが、それにしても、今まで全く気が付かなかった。
 「良い音楽は良い音響で」というキャッチコピーについては、個人的には「ちょっとどうか」と思う部分が些かあるのだが、やはり良いことありますね。悪い音響で聴いても音楽的感動に影響はないと思うんだけど、「情報」を沢山得ようと思ったら音響設備の充実は確かに必要なようだ。ま、問題はどこで満足するかという話である。

 ついでに昔話をすると、サーフィスの唯一のライヴ・アルバム『Phase to Fate』が出た時に、『ベース・マガジン』誌のディスク・レビューで紹介されていて、その時はええと、中学1年生かな、雑誌を買う金はないので立ち読みしたらば、「小川真司のベースにも注目」というようなことが書いてあった(ベース雑誌なんだから当たり前ですね)。で、その時はそもそもベースを始めてなかったせいもあり(あれ、じゃあなんでベーマガなんか立ち読みしたんだろ? ギターは既に始めてたんだけど、まだアコギだけでエレキギターは持っていなかった)、このライヴ盤におけるベースというのは長らく気に留めていなかった。
 ところがこれまた、上記のヘッドホンで聴いてみると確かに要所要所でベースが唸っているんですよね。長年ファンをやっているとこういうオトクなこともあるんだなあと、今とても気分が良い。


なにしてんの

なにしてんの

Room

Room

DENON 密閉型オーバーヘッドヘッドホン ブラック AH-D510

DENON 密閉型オーバーヘッドヘッドホン ブラック AH-D510