こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

「Phase to RABBIT-MAN」12月28日@下北沢GARDEN

 椎名慶治の「Phase to RABBIT-MAN」を観てきた。12月28日と30日の2日間の公演で、僕が観に行ったのは28日の方。場所は下北沢GARDEN。初めて行ったよ下北沢。つい「下北沢のジャニス」こと金子マリの姿を探してしまう。なおGARDENのすぐ近くに伝説のライブハウス「屋根裏」もあった(元々は渋谷の店だそうだが)。
 この前椎名のライブを観たのは今年4月、『S』に伴うツアーの赤坂BLITZ公演で、この時は10番台という、もう二度と無いだろうというほど早い番号の整理券が手に入ったのだが、今回も50番台でかなり良い番号である。下北沢GARDENはキャパ600人ほどで、ステージも小さめな上に、椎名も結構前の方まで出て来ていたので、インストア・ライブを除くと今までで椎名と一番近い位置で観られたライブだった。ただ、もたれられるように下手の端に陣取っていたら、スピーカーの真ん前でボーカルの音がかなりうるさかった。やはり真ん中で観た方が良い。
 今回はメンバーがいつもとかなり違っていて、馴染みがあるのは友森昭一(ギター)と村原康介(キーボード)くらいで、あとはオダクラユウ(ギター)、坂本暁良(ドラム)、町田孝(パーカッション)という若手の面々。そしてベースが・・・なんか「さぁ」のPVにこんな帽子被ったヒトいたなあ、という妙なニット帽のおじさん。果たして本人であった(近藤実)。確か昔の会報で「火星に帰った」とか椎名に言われていたが。ミュージシャンを続けていたのか。
 なおオダクラは2本のエレキを弾き分けていたが、どちらもCrewsのもので、永谷を連想させた。というか、メインで使っていた方のAbsoluteは、『Fate』の頃に永谷が弾いていたのと全くおんなじモノで、ひょっとして借りてきた(譲り受けた)のか?とずっと気になった。真相を御存知の方は教えて下さい。
 セットリストは、『Phase』を中心に、それ以外の初期サーフィスの曲と、『S』から数曲という構成。オープニングが「空っぽの気持ち」なのは予想が付いていたが、2曲目が「FACE TO FACE」だったのは嬉しかったな。オリジナルが大好きなのだが、今回のリアレンジもかなり良かった。そしてライブで観るのが初めての曲でもある。
 ライブで観るのが初めてと言えば、「まだまだ」と「ひとつになっちゃえ」も、遂に観た!という感じで、嬉しかったな。今回のリアレンジではボーカルやハーモニー等の追加が結構あって、その殆どは「蛇足」と感じられたのだが、数少ない例外は「まだまだ」間奏でのコーラス。これは良い。
 ただ「ひとつになっちゃえ」の締め括り(イェイイェイイェ〜)のハモリはもっとキッチリやってほしかった。あそこが一番のキモなのに。
 『Phase』から演らなかったのは「ふたり」と「ジレンマ」のみ。既に見慣れた感のある「線」(大好きですけど)よりも「ふたり」が観たかった。
 『Phase』以外のサーフィスの曲は、「Room」「Tell Me」「about love」。どれも凄く良かった。「Room」は嬉しい。今回の『Phase』のボーナス・トラックにすればいいのにと思っていた曲だ。このアルバムと同じ日に配信限定で出たライブ・アルバムには収録されていたが、アンプラグド・アレンジだったので(これはこれで良い)、ここでバンド・アレンジで聴けて嬉しかった。
 そして「Tell me」。この曲が『Phase』以前からあった曲であることを知っているファンには、納得のいく選曲である。これはイントロから泣けた。原曲のままのキーで歌うのは、やはり大事だ。
 「about love」は「.5」のカップリング曲で、一応「両A面」扱いだったはずだが、「.5」に較べると地味な印象もある。しかし実は僕は「about love」の方が好きなのだ。なのでこれも聴けて嬉しい(サーフィス時代に「celebration」で観ているはずだが、最早記憶にない)。今回はZEROのラップを大フィーチャーしたアレンジで、これがかなり格好良かった。
 なお「about love」を選曲したのは「今まで歌詞を間違えずに歌えたことがないから」だそうで、そして今回も間違えたのだが、DVDで音を差し替える用に(ホンマかいな)とのことでアンコールでも演奏された。「やっと(間違えずに)歌えた」と本人は語っていたが、アンコールでも歌詞を間違えていたぞ(Aメロの「大事な」と「皮肉な」が1番と2番とで入れ替わっていた)。ついでながら本編では1番も2番も「皮肉な」と歌っていた。さてDVDではどうなっているか。
 ZEROをフィーチャーと言えば、「冬の終わり」を演ると見せかけて、そのアナザーストーリー的なやつをZEROが歌っていたが(椎名はコーラス)、これははっきり言って「余計なことすんな」であった。以前のライブで「君の声で 君のすべてで...」の間奏にラップを入れてきた時にも「余計なことすんな!」と思ったが、要するにバラードでは遠慮してもらいたいということだ。一気に安っぽくなるから。
 実は原曲の「冬の終わり」が僕は(サーフィスの楽曲としては非常に珍しく)大して好きでないのだが、それでもZEROの歌唱の合間に時折、原曲のフレーズを椎名が歌うのを聴くと、物凄く良い曲に聞こえるのだった。
 先述のように、比較的小規模なライブハウスでの演奏だったので、こうした初期サーフィスの楽曲が披露されるのを観ていると、『SURFACE CLIPS 01』の「ひとつになっちゃえ」や「バランス」のPVで使われている、ライブハウスでの映像をかなり髣髴するところがあって、心打たれた。あ、そう言えばこの日の椎名の髪型は2000〜2001年を髣髴する感じだったな(しかしオタクだなあ俺も・・・)。
 ついでに昔話をすると、2000年12月の公演を収めたビデオ『Face to Fate』のアンコールで、「それじゃあバイバイ」のコーラスを観客にハモリで演らせるシーンがあったが、これを今回またやってくれたのも楽しかった。『Face to Fate』では結局「それじゃあバイバイ」自体は演らなかったのだが(それともビデオでカットされただけ?)、今回はバッチリ演ってくれました。


 『S』からは「僕等の中」「いざ尋常に」「遮ニ無ニ」と、個人的にはベストの選曲(「遮ニ無ニ」は一番人気らしい)。そして本編最後に「駆け出しのヒーロー」を歌った。これはライブで聴くの初めてか。


 これら以外に、ZEROとのツインボーカル曲「NEXT」、いつもと違い「ベ〜〜ス、近藤実!」によりスタートした「RABBIT-MAN」、そしてアンコールの最後に「取り調べマイセルフ」を歌った。これらは『RABBIT-MAN』期の曲と言えよう。「取調べ〜」は久しぶりに(2011年以来?)聴けて、嬉しかった。この曲はソロ曲として最初に公表された曲で、これを試聴して「椎名はソロでも大丈夫だ」と安心し、嬉しくなったものだった。
 最後にこの曲を演ったのは、「来年はサーフィスの曲を入れない、ソロ曲だけのライブを演る」とMCで発表したことから繋がるものなのであった。この発表があった時には観客から不満の声も少々漏れ聞こえたが、僕はとても嬉しかった。もう既に良い曲が充分あるのだ、まじで。最初のミニアルバム『I』からの曲でも、まだライブで聴いたことがないものもあるので、ソロ曲を満遍なく演るライブは是非とも観たい。期待しています。