こんなんだったっけ日記

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MUSE: Live at Rome Olympic Stadium

 このごろはロックやポップスのライブビデオが出ると期間限定で劇場公開されることがしばしばあって、ライブ映像を大画面・大音量で楽しむ絶好の機会となっているのであるが、今月号の『ロッキング・オン』誌に、ミューズの今年7月のローマでのライブが劇場公開されるとあり、これは絶対に観に行かなければ、と早速インターネットで調べをつける。
 ミューズが非常に優れたライブ・バンドであることは2008年にリリースされたライブ・アルバム『HAAP』で証明済みだが、今回の『Live at Rome Olympic Stadium』は只のライブ映像ではない。先ごろ話題になった「4K」(ハイビジョンの4倍の画素数)カメラで撮影された映像が、映画館で堪能できるというのだ。
 4Kでの映像が上映されるのは東京では1夜限定とのことだったが、私が気付いたころには既に売り切れ。まあ普通の映像でもいいかと思っていたら、4Kの上映期間が延長されたということで(こういうのも割とよくある)、観に行ってきました、東宝六本木。3番シアターという、やや小さめの部屋であったが、前の方以外は大体埋まっていた。先日観に行ったツェッペリンの映画に較べると、女性の多さが目立った。やはりマシュー・ベラミー効果であろうか。
 始まってみると、画質の高さは私のような者にも明らかで、特に遠景を撮っている時に、その鮮やかさが際立っていた。すごいぜ4K。家には要らないけど。
 肝心のライブであるが、強靭な演奏そしてシアトリカルな演出が相まって、実に素晴らしい出来だった。観に行って本当に良かった。
 演奏の方は、メンバー3人+サポート1人という布陣で、叙情ハードロック(いいですね〜)をばっちり作り上げている。マシューはボーカリストとして一級であるのみならずギタリストとしても非常に個性的で(6弦ギターと7弦ギターを使い分けていたが、ワケ判んなくならないのだろうか)、ともすると彼のワンマン・バンドとも見えがちだが、ベースのクリス・ウォルステンホルムは多才だし、ドラムのドミニク・ハワードも叩きまくっているし(彼はレフティだったんですね。映像を観て初めて知った)で、いずれも見逃せない。なおサポートのモーガン・ニコルズは、鍵盤にギターにフロアタムにタンバリンにと、八面六臂の活躍をしていて見てて笑える。
 次いで演出の方は、大規模な映像効果と火薬装置も4Kの映像によく映えていたが、やはりフロントマンであるマシューの貢献が大きい。流石に自分の「見せ方」をよく判っていて、演劇的な身振りが非常に効果的だ。かっこいい。彼は大凡ずっと格好良いのだが、ごく稀に「あれ、ひょっとして今ダサイ?」という瞬間もあるのがまた愛らしい。
 また、スクリーンの映像に出て来る役者をそのままステージ上に登場させるといった趣向も面白かった。
 楽曲と演奏と演出、この三者が見事な融合を果たしているのが「Animals」から「Knights of Cydonia」への流れで、ここは正にカタルシスロック・ファンなら必ず一度は観ておくべき場面であると思いました。
 セットリストは最新作『The 2nd Law』からの楽曲を中心に、『Absolution』『Black Holes and Revelations』『The Resistance』といった近年の旧作からの楽曲も散りばめるという構成。「Hysteria」のような、イントロがキャッチーな曲はやはり非常に盛り上がる。また、「Supermassive Black Hole」なんかはスタジオ版の5倍くらい格好良くなっています。