こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

『JUKE BOX』ツアーDVD感想(各論篇1)

【OVERTURE】
 開演直前、カーテン裏の7人を頭上から捉えた、非常にイイ雰囲気のオープニングである。映像的にはとても良いと思うのだけれど、見過ごせない短所もある。それは「1曲目がバンド曲」ということをバラしてしまっていることである。この後で例のアコギのイントロを経て「ブリュレ」が始まるのだが、カーテンが落ちた時に初めて「なんとバンドでやっている!」というのが判明するのが、とびきりのサプライズなのに、最初にタネを明かしちゃあなあ、台無しとまでは言わないが、カタルシスの質が随分落ちる。
 

【ブリュレ】
 さて、その「ブリュレ」。イントロのアコギの音はCD音源だ(実際のライブでもCD音源だったのか、実際には安田が弾いたのだがミスがあった等の理由によりCD音源に差し替えられたのかは不明)。ここで「あれ・・・?」とがっかり。
 実は、本作のこの曲は、イントロには音源の補佐が結構強く入っていて、あまりバンド感はない。「バンドだ!」ということがハッキリと感じられ始めるのは錦戸の歌唱が始まってからである。
 最初の「あれ・・・?」という感覚が薄れ、徐々に興奮してくる。それどころか涙目になってくる。この感動は何に由来するものであるか。楽曲や演奏の質の高さもさることながら、「アイドル・グループ」である彼らがオープニングにこの曲をバンド・アレンジでぶっつけてくる、その「気概」に圧倒されての感動であると思う。彼らは、本当にカッコイイ。
 演奏に注目してみると、特に目を引くのは大倉と丸山である。大倉はラメ入りの(多分)新しいドラム・セットで、フロア・タムは2台。あとシンバルが一般的なセッティングより2、3枚多いか。「バンド感」の根底を成しているのは彼のドラムである。色々フィルインを入れているのだが、何と言ってもスネアの連打が格好良い。例えば、2度目の「でかい期待抱いてたいなあ」の後にベースとギターのユニゾンがあり、そこにスネアの連打が入ってくるところなんか最高だ。
 丸山は、この曲でだけフェンダープレシジョン・ベースを弾いている。今まで「Fight for the Eight」のPV、「少年倶楽部プレミアム」(Baby Baby)、「ココロ空モヨウ」のジャケット(とオマケのブックレット)と、ビミョーなところに時折顔を出してきたが、公式のライヴ映像で使うのはこれが初めてのはずだ。この1曲でだけ使うと言うことで、サウンド面でこだわりがあるのだろう(一般的にプレシジョン・ベースは、丸山が普段愛用しているジャズ・ベースよりも、ブリブリとしたロックらしい音が出るとされる)。この曲ではミュートした状態でのピッキングでノイジーな格好良い音を出している。特に1番のAメロ前半に注目。


【夕闇トレイン】
 タイトなドラム・ソロに次いで「夕闇トレイン」のイントロへ(この流れカッコイイ!)。この曲はCDでは「悪くないんだが、もうちょっとフックが欲しい」という印象だったのだが、バンド演奏での映像で観ると随分印象が良くなった。いい曲だ。
 前曲同様にギターは3人なので、各々の音は聞き取りにくい。ただ、この曲では列車が動き出すガタゴトという音を、歪んだエレキギターで表現しているのだが(同種の趣向はフィリップ・スパークの吹奏楽曲「オリエント急行」のものが有名)、これをライブでは錦戸と安田が交互にやっている。1番の後の間奏でそれがハッキリと確認できるので、ヤンマー・ファンは須くヘッドホンを装着して観賞すべし。
 この曲でも大倉が叩きまくっていて実に気持ち良い。あと1番Aメロの丸山がカッコイイなあ。


【宇宙に行ったライオン】
 この辺りから「ひょっとして本作は凄いんじゃないか」と気付き始めた。音源の補佐を得てのものではあるのだが、バンド演奏でこれだけ説得力を持たせられるアイドル・グループって・・・。この曲もCDでは「それほど」だったのだが、ライブでは随分印象が良い。横山のティンパニ捌きもサマになっている。
 くどいようだが、この曲もキモは大倉。上でも書いたように、音源の補佐をそれなりに得て演奏するという現状では、彼が叩きまくることによって関ジャニ∞の「バンド感」が保証されている。また、渋谷・錦戸というメインを張る二人がいて、そこに抜群の安定度と多才さを誇る安田が参入(そして三人ともパートはギター)という状況にあって、グループとしての立体感、説得力のためには是非ともドラム、ベースの台頭というものが必要になってくるのだが、近年の大倉、丸山はその要求に実によく応じていると思う。このことは歌唱面についても同様に言える。
 とは言うものの、この曲で渋谷はボーカルに専念し、且つイントロ〜Aメロでは錦戸がエレキではなくアコギを弾いているので、各人の出している音がぐっと掴みやすくなった。横山のティンパニも判りやすいしな。村上の鍵盤が聞こえるところも比較的多い。ファンが「熟聴」すべき曲と言えるだろう。


【LIFE 〜目の前の向こうへ〜】
 大名曲であり、『8UPPERS』ツアー以降毎回演奏されているが、『FIGHT』や『8EST』のツアーDVDに収録のテイクは、あまり良いものではなかった印象。それに比して今回のはなかなか良い(但し衣裳なども含めた総合点では初出の『8UPPERS』ツアーDVDのテイクの方が上)。2番カットは残念。
 1番Aメロの丸山の歌唱が、これまで今一つのことが多かった気がするのだが、今回のは合格点。
 
【Dear Summer様!!】
 アルバムの感想記事で書いたように、非常に好きな曲である。最初はボーカルにばかり注意していたのだが、ある時点で「あっ、これはカラオケじゃない!」と気付き(総論篇参照)、それ以降はボーカルに注意したり伴奏に注意したりで、非常に忙しい。
 この曲に関して言えば、元々がサンプリング(楽器音以外のデジタルな音源)が結構加えられている曲なので、このライブでもバンド演奏にそういったサウンドを付加するという方式を採っている(程度差はあれど他の曲も同様)。
 ライブ演奏、しかもこのような大規模会場での演奏となると、CDにおけるような緩急の激しさというのはどうしても出しにくいようで、この曲でもBメロのローな感じはライブだと軽減されている。でも生演奏というだけで嬉しいのだ。歌唱も良い感じ。

 
【あおっぱな】
 映像が美しい。カット割りも巧妙なのだが、映像そのものが美麗である。DVD版をノートパソコンで観ていてもそう感じるのだから、ブルーレイ版をちゃんとしたAV機器で観賞したらどんなにか美しかろうと思う。どっかで企画してくれないかしらん。
 映像と言えば、非常に細かいところだが、36:11からの数秒、浮上したステージを客席側から映しているカットがあって、長髪の女性の後ろ頭がかなり大きく映り込んでしまっている。本来なら邪魔でしかないのだが、この後ろ頭が非常に気持ち良さげに「ノッっている」動きをしているので、その場の雰囲気を伝えていてむしろ良い効果を出している。
 それにしてもこの曲は、聴く度に良さが増すようだ。1番Bメロの丸山は、まあ合格点か。2番がカットされなかったのは嬉しいが間奏を挟まずにいきなり大サビにまとめてしまうのは、毎度のことながら感心しない。


【T.W.L】
 この流れは必殺だ。「あおっぱな」は2012年、「T.W.L」は2011年と、比較的最近の曲だが、既にしてしっかり今後を担う曲になっている。
 この「T.W.L」も本作のテイクが画期的かつ決定版と言えるだろう。伴奏がカラオケでなく生演奏であるのに加えて、間奏のブルースハープも錦戸本人が演奏しているのだから(念のために書いておくと、少なくとも私が聞いた限りでは、これまでの本曲のライブ演奏は全て、この部分はアテブリだった)。
 いやあしかし、さっきの「あおっぱな」もそうだけど、この曲を生演奏で聴くのは本当に気持ち良かっただろうなあ。なお歌い慣れているだけあって歌唱も文句なし。


【TAKOYAKI in my heart】
 これもバンド演奏が基調となっている(元々打ち込みの箇所はそれを援用)。本当に贅沢です。
 御存知の通り各メンバーのソロ・パートがしっかり設けてある曲であるが、トップバッターは村上信五。これがなかなか良い歌唱。ここに限らず、彼の歌唱は本作でレベルが底上げされているように感じる。大変良いことである。
 2番目は安田。「どっちかちゅうと、こっち系」が「安田系(保田圭)」になっていることは事前に知っていた。まあオリジナルの「こっち系」というのがオチとしては今一つだったので、どっちかちゅうと、こっちの方が良いんじゃないでしょうか。どうでもいいけどこの時の安田の髪型が私は好きです。次点は『8UPPERS』ツアーの時のチリチリパーマかな。本作で、後に髪型を変えて、なんかモヒカン一歩手前みたいになりますが、あれ嫌だな、私は。
 3番目、錦戸。最後の「嗚呼・・・」に照れが残っているな。いかんよ。
 4番目、渋谷。彼の髪型がオカッパ?を脱したことを喜ばしく思っています。今の方が良い。ヒゲはまあ、別にどっちでも。それにしてもこのZO-3、販売すれば絶対売れると思うんだけどなあ。
 5番目、丸山。不覚にも笑ってしまった。何言っているのか殆ど判らないんだけど。MCの「シンプル・イズ・ベスト!」にも笑っちゃったしな。耐性が落ちているのだろうか。話をギャグソロに戻すと、やっぱりこういうのは映像がある方が良いですね。あと「パーン!」をやりそうでやらなかった点(しかも2回も)は大いに評価したい。
 6番目、横山。アルバムの感想記事でも書いたけど、これは元ネタが弱い。成仏。
 7番目、大倉。ソツない感じ。太鼓叩かへんのかい。でも隠れ大倉ファンとしては不満なし。

KANJANI∞ LIVE TOUR JUKE BOX(通常盤) (初回プレス ステッカー付) [DVD]

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