こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

しかし誰が買う?/私選・名ベースライン

 ムッシュかまやつが素晴らしいと書いたのに続く文章のテーマとしてはちょっとどうかと思うのだが、メガデスの『Peace Sells... But Who's Buying?』というアルバムが良い。
 元々、「歴代最高のベースライン TOP10」という記事を見ていて、その内で自分の知らないものを逐一聴いていたところ、ランキングの2位がメガデスの「Peace Sells」という曲で、これが思いの外にカッコ良かったので、例の如くYouTubeでフルアルバム聴いてみたところ、全体としてもかなり良かった。
 ヘヴィー・メタルというジャンルには興味があって、これまでにも何度か有名どころを聴いてみたのだけれども、どれもあまりピンと来なかった(アイアン・メイデンの「Aces High」なんかは悪くなかったですが)。なんというか、音楽の趣向上仕方がないのかも知れないが、曲が単調になりがちで、フックだか面白みだかに欠くように思われたのと、バラードなんかがチープな感じがするのだ。実はセックス・マシンガンズの『Barbe-Q★マイケル』というアルバムが大好きなのだが、このアルバムの魅力はどの曲もキャッチーで且つバラエティーに富んでいるということに尽きる。他にもそういうメタル・アルバムはないのかしらんと思いながらも、見つけられないでいた、その「当たり」がこの『Peace Sells... But Who's Buying?』だったわけである。なお元の邦題は単に『メガデス』だったのだが、再発で『ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?』とされたようである。しかし片仮名にすると却ってわかりにくいよな。peaceなのかpieceなのか? sellsなのかcellsなのか? butなのかbatなのか? who'sなのかfoodsなのか? バイイング…はまあ大丈夫かも知れないが、でもなんか片仮名で「バイイング」とあるとちょっと「なんじゃろな」と思いますね。じゃあ上手く邦訳してみろと言われると困るんだけど。
 まあそれはともかくとして、いかにもどメタルなジャケットもさて置いて(これも、じゃあどんなジャケットならいいんだよ?と言われると困る。確かに音楽には合っている)、これは各曲がそれぞれにキャッチーで、ずっとメタルなのに飽きさせない(「I Ain't Superstitious」だけはロックンロールだが、これも最後にはメタルになっちゃうのが可愛い。なお元はウィリー・ディクソンの曲であるが、メガデスは第一期ジェフ・ベック・グループのバージョンに忠実なアレンジで演っているようだ)。どれもメタルなんだから楽曲のバラエティーは大してないのであろうが(セックス・マシンガンズのように歌詞が判るわけでもないので一層違いを感じるのに不利である)、どの曲にもニヤリとさせるフックが用意してある。YouTubeのコメントで「ばあちゃんに薦められる唯一のメガデスのアルバム」という旨のものがあるが、言わんとすることは判る。1曲が4,5分、全体で36分と、コンパクトにまとめてある点も重要である。YouTubeで聴きっ放しというのもナンなので、そのうち購入したい。タワレコのクーポンもあるしな。


 ところで上記の「ベースライン TOP10」というやつであるが、1位がピンク・フロイドの「Money」で、他レッチリツェッペリンなどが入っているのは良いのだけれど、ジャコ・パストリアス「Come On, Come Over」やウイングス「Silly Love Songs」なんかがないのは意外である。レッチリだったら「Higher Ground」じゃないかとか、グリーン・デイだったら「Holyday」じゃないか、などと思わないでもない。そう言えばスラップ系も意外とないよな。何が有名なのか知らんけど。グラハム・セントラル・ステーションの「Pow」とかか。

 ついでながら僕が「格好良いベースライン」というので思い浮かぶのは以下の曲。単発的なフレーズは除外して、ある程度フレーズとして「練られた」と思しきものから選択。順不同です。コロン以下はベーシスト名。※思い出し次第ちょいちょい追加しています。


ザ・ビートルズMaxwell's Silver Hammer」:ポール・マッカートニービートルズのベースは格好良いのが一杯あるので、というか「格好良いベース」の基礎を作った第一人者なので、トップ10に一つもランクインしていないのは問題である。定番なのは「Drive My Car」「Rain」「Paperback Writer」「Taxman」「With a Little Help with My Friend」「Come Together」「Something」なんかでしょうか。定番が多いね。それだけ凄いってことです。それ以外だとこの「Maxwell's 〜」や、「I'm Only Sleeping」などが好きです。「You Never Give Me Your Money」も最高ですね。全くの余談ながら、「Maxwell's Silver Hammer」はマクスウェルという青年が銀の鎚(Silver Hammer)で人を殺しまくるという、僕でさえ発禁にした方がいいんじゃないかと思うような凄惨な曲なのですが(曲はひたすら呑気という点もタチが悪い)、二ノ宮知子の『天才ファミリーカンパニー』という長編で、高校の英語の授業で先生だか生徒だか読み上げている英文がこの曲の歌詞だった。しかも固有名詞だけ書き換えてある(作者の知人なのか)。「二ノ宮知子 ビートルズ」で検索してもそれらしい記事は出てこないが、たぶん作者はかなりのビートルズ好きと思う。
ザ・ローリング・ストーンズSympathy for the Devil」:キース・リチャーズ。僕の好物のお手本のようなベースライン。弾いているのはビル・ワイマンではなくキースだそうだ。偉い。
ジェフ・ベック・グループ(第二期)「Ice Cream Cakes」:クライヴ・チェアマン。読み方これでいいのかな。Clive Chamanさんです。ジェフ・ベックだと「You Never Know」のイントロも良いよなと思ったのだが、聴き直してみるとオリジナルではベースギターじゃなかった。
小坂忠「ゆうがたラブ」:細野晴臣。これはバンドのアンサンブルが、もうタマラン!というくらい良いのだが、ベース単体も格好良い。あ、細野さん自身の「Choo Choo ガタゴト」も最高だな。「薔薇と野獣」もいい。
ザ・タイガース「ジンジン・バンバン」:岸辺修三。ベースプレイで言うなら「美しき愛の掟」であろうが、ベースラインとなると「ジンジン・バンバン」に一票。一応ギターとユニゾンになっているのだが、ベースが超ブーストしてあってギターが殆ど聞こえないという異様なバランスにされているので、まあベースラインでいいでしょう。次点は「風は知らない」エンディング。ベースの高音部の使い方がツボ。この曲「美しき愛の掟」のB面だったんですね。両面とも完全に主役サリーやがな。
椎名林檎」:井上雨迩。このイントロは凄まじい。細野晴臣「薔薇と野獣」の発展形のようだ。
東京事変「OSCA」:亀田誠治椎名林檎のベースといえば普通はこの人ですね。でもベースラインというと意外と思い浮かばない。実際に聴いてみるとどれも格好良いのだけれど。「OSCA」は結構ベースの目立つ曲。高音の使い方がめちゃかっこええ。
関ジャニ∞「好きやねん、大阪」:ベーシスト名失念。「ピンク・パンサーのテーマ」みたいだけど、格好良いならいいじゃないか。「イッツ マイ ソウル」「ワッハッハー」「イエローパンジーストリート」「Fight for the Eight」などのベースも良い。∞祭で丸山が弾いた「Dye D?」のベースラインも、シンプルながら結構美味しい。
「おそ松くん」BGM:ベーシスト名は存じません。『なんでも鑑定団』のアレですね。これこそピンクパンサーですが。日常で耳にするBGMの中ではかなりベースがでかいものの一つでは。
レッド・ツェッペリンGood Times Bad Times」:ジョン・ポール・ジョーンズ。上記ランキングに入った「Dazed And Confused」も勿論最高ですが、この曲も捨てがたい。でも聴き直してみるとギターとのユニゾンが多いな。まあいいや。0:55頃の最高のソロもあるしな。あー『祭典の日』買わなくちゃ。
★ディープ・パープル「Highway Star」:ロジャー・グローヴァー。この人のベースは格好良いんですが美味しいところはギターとユニゾンのことが多いのでベースラインとしては挙げにくい。この曲はイントロですね。ルート弾きでこんなに高揚感が出せるのか!と教えられる。まあ曲あってこそですが。0:12くらいの♪テケテンテレレン・テンテンテンテン、というのはベーシストなら誰しもコピーした筈。カッコイイよなあ。津軽三味線みたいだけど。
トライセラトップスGOING TO THE MOON」:林幸治。「ROCK MUSIC」なんかも格好良いけどあれはギターとユニゾンだからな。林さんのベースはフラットワウンドっぽいサウンドも好きです。 
サザンオールスターズ「DING DONG(僕だけのアイドル)」:関口和之。傑作『世に万葉の花が咲くなり』収録。しかし聴き直してみるとコレ打ち込みかな。アルバム冒頭曲「BOON BOON」イントロのベース(これまた打ち込みかも)も格好良いです。
ゼリ→「SECRET SERVICE」:ユータロー。傑作中の傑作『BE SILENT FUCKIN' RIOT』からの一曲。思わずコピーしたくなるフレーズ。惜しむらくは全体的にはあんまりベースが聞こえないんだよな。
ザ・ストロークスJuicebox」:ニコライ・フレイチュア。しれっと書いていますがストロークスのベーシストの名前なんか今まで知らなかったよ。実はストロークス(新譜でましたね)はあんまり好きでないのだが、サードアルバム収録のこの曲はそれまでのイメージを覆すハードな出来で(でも結局また戻ったのか?)、つい買ってしまった。この曲のリフはめっちゃ格好良いですね。実際にはこれもギターとのユニゾンなのだが、まあベースの方が目立っているので。
★キッス「Torpedo Girl」:エース・フレーリー。多分、キッスの中では比較的知名度の低い曲と思うが、僕はこの曲がやたら好きである。キッスは「意外と」ポップだという論評をたまに見かけるが、僕は初めて聴いたキッスのアルバムがこの曲を収める『仮面の正体(Unmasked)』だったので、ポップなのは意外でもなんでもなかった。なおウィキペディア先生によるとベースはジーンでなくエースとのこと。ジーンが弾いている曲では、有名どころの「Detroit Rock City」や「Love Gun」なんかのベースが格好良いですね。