こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

左弾きベース道中 (1)

 突然ながら、僕は左利きである。だから手を使う大方の作業は左手で行うのだが、例外が2つある。箸とギターである。
 箸については、両親をはじめとして周りの大人が皆右利きで左での持ち方を教えられなかったということだそうだが、ギターについては・・・どうだったか。これも記憶にないのだが、おそらく最初のギター(12歳の誕生日に2万円くらいの黒いアコギを買ってもらった)を買いに行った楽器屋の店員さんが「まあ右用でいいんじゃないの。左用のもあるけど数も少ないし値段も高いし」なんてことを言ったのを「そういうものか」と素直に聞いて右用のを選んだのではあるまいか。
 その後でエレキギターエレキベースにも手を出したが、当然ながらずっと右用のギターを選んできた。
 今思えばちょっと不思議ではあるが、「左用で始めれば良かったな」と思ったことはあまりなかった。ビートルズの、それもポールの大ファンにも関わらずである。まあ試したことがないではない。何かの雑誌で野村義男とポール・ギルバートがギター勝負!なんてやってて、勿論正攻法ではよっちゃんに勝ち目はないので、お互いに手持ちのギターをひっくり返して逆の手で弾くというのをやっていて、よっちゃんが「お、俺の方が上手いぞ」なんて言っているのを読んだことがあるが、試みに同じようにして弾いてみるとこれがまあ、見事に手が動かないので早々に諦めてしまった。そういうことがこれまでのギター人生(というほど熱心に練習もしてこなかったわけだが、まあともかく)十数年の中で2,3度はあった。
 それが、昨年の暮れ頃からまた「左で弾けるようになりたい」という気持ちがふつふつと湧いてきた。その理由は、つい20日ほど前のことの筈なのだが、覚えていない。
 覚えてはいないのだがあり得る理由は3つしかない。

 (1) ポールになりたい:別に「なりきりたい」わけではないのだが、やはり折角ポールが好きで折角左利きなんだから、この特性を活かさなくては勿体ないという気がするのだ。
 (2) 格好良い:ポールのことは一旦置いておくとしても、バンドの中で例えばギターが2本、ベースが1本あったとすると、この3本が揃って同じ方向を向いているとなんかイマイチ格好良くないのですね。「整列」しちゃっている感じがロックにそぐわないというか。この点でもビートルズは、ジョン・ジョージとポールとの楽器の向きが逆になっていてやっぱサマになっているのだ。ま、僕は一人で練習しているだけなので関係ない話ではあるのだが・・・。
 (3) こっちの方が上手くなれる気がする:ギターに限らず、どうして右利き用の(則ち標準の)弦楽器はネックが左側に付いているのか、浅学にして知らないのであるが(註)、もしこれによる「非利き手で押弦し、利き手で弾く」という形が人間工学的に優れた在り方なのだとすれば、左利きである僕もそれに従った方が(要するに左利き用のギターを弾いた方が)能力が発揮されるのではないか、と(今更になって)思い始めたのである。気持ちは分かって頂けるものと思う。
 そんなわけで左弾きでの練習を始めた。時折しも新年元日であった。(つづく)


(註)「何を言っているんだネックは上に付いているだろう」と思う人がひょっとしたらいらっしゃるかも知れませんが、楽器を構えた時の話です、念のため。なおネックが左側に付いている理由として、音階の高低の向きをピアノ等の鍵盤楽器に一致させた結果ではないか、という説を思いついたが、鍵盤楽器よりも弦楽器の方が歴史が古いはずなのでこれはおかしいか。