前項にて購入したベースについて。
まず見た目だが、見る度にウットリしてしまう。こういうベースを買った旨、ビートルズ・ファンの父親に写真を添えてメールすると「本物か。宝物が出来たな」という返事が返ってきた。ま、楽器に詳しい人ならこれを「本物」とは言わないだろうし、僕も「このノブは取り替えて・・・」とか思うところはあるのだが、それはそれとして、この「宝物が出来たな」という文面にはハッとさせられた。確かにこれは宝物である。
考えてみれば、今までに買った楽器の数は、今回のを除くとアコギが2本、エレキが2本、ベースが1本であるが、こういうミーハー感覚で選んだことは嘗てなかった。最初のベースは、フェンダー・ジャパンのサンバーストのジャズベというこれ以上ないくらいにスタンダードなチョイスであったが、遂にフェンダーを買った!という興奮はあったがジャズベ自体にそれほど憧れを持っていたわけではなかったし。高校生の頃、ヤマハの黒いレス・ポール・スタンダードのコピーモデルを拾った時にも「ジェフ・ベックだ! ブロウ・バイ・ブロウだ!」と興奮したものだが、ヘフナー・ベースが訴えかける「ポール感」はそれを凌ぐものがある。いくら安物だろうが無条件に「宝物」と思わせる威光を放っているのである。色も格好良いしね。
ジャズベを買った時にヘッドのロゴを見て「おお〜フェンダーだ・・・」とホレボレしたものだが(ジャパンだけど・・・)、今はこのベースのヘッドを見て「おお〜ヘフナーだ・・・」とニヤニヤしております(インドネシアだけど・・・)。
さてこのIginition Bass、誰が見てもポールの楽器だが、その反面(ある程度知識のある人なら)誰が見てもポールの楽器じゃない、という面白い(と言っていいのかどうか)機種である。
僕もどちらかと言うと「知識ない」側の人間なのだが、それでもパッと見て判る範囲でも次のようなところが違う。
・ノブが違う:これが一番目立つ。ポールが使っているのは白い奴で、ティーカップ型というらしい。Ignition Bassはこれとは全然違う、黒いもの。なんで? ヘフナー・ベースを買う大概の人はポールに憧れているんだから、最初からティーカップにしとけばいいじゃん、と思うのだが理由は不明。まあジャズベースのノブと似ているので違和感がなくていいと言えなくもない。このティーカップ型のはヘフナーも4000円くらいで販売しているそうだが(2個セットの値段と信ずる)、スカッド(SCUD)というメーカーがおんなじ見た目のものを1ケ600円ほどで売っているそうである。
・0フレットがない:これは試奏した時だったかに知った。あれ、0フレットある筈なのにないじゃん、って。まあ0フレットの効果もよく理解していないので別にいいんだけど。
・ピックガードのネジ:写真を見ても判るようにピックガードにネジが見えているのだが、ホンモノにはこれがない。微妙に気になるところである。まあホンモノはホンモノで釘で留めてあるとかで問題があるそうですが。
・ナットの色:ホンモノは白・黒・白の三層構造だそうですが、Ignitionだと真っ黒である。これもねえ、最初から三層にしとけばいいのにねえ。文句ばっかり言うようでナンだけどさ。
他にも、ヘッドのロゴやらストラップを付ける機構やら色々違うようだが割愛。これだけ違うと全然違うみたいだが、それでも「大本は同じ」と思えるのは、ボディの形がホンモノそのまま(これも厳密には違うのかも知れないが)だからでしょう。グレコのコピー・モデルなんかだと、わざとなんだろうがボディがちょっと膨らんでいて、「なんか違うな」という感じがする。
そう言えばエピフォンにヴィオラ・ベースというのがあってですね、これはコピー・モデルではないのだろうけど、と言ってもコントロール・パネルなんかどう見ても意匠をパクってると思うんだけど(よもやこっちが先ではあるまいな)、これもやはりヘフナーありきで見ると「ニセモノ」という感じがしますね。実は1年くらい前にヘフナー・ベースを買おうと思って(結局買わなかったんだけど。因みにその頃は当然右用のを探していた)お茶の水をうろうろしていた時に、ある楽器屋で「これいいですよ」とこのヴィオラ・ベースを薦められたが、試奏しながらも「なんか違うな」とやっぱり思いました。
自分の楽器に話を戻すと、中古で約3万3000円、現在の定価より1万5000円以上安くで購入できたのだが、見るとピックアップとピックガードにビニールが貼られた状態だった。ピックアップの方のカバーはそのままだと弦が振動した際に触れて音がビビるようだったので剥がした。
・・・ということは、元の持ち主はその段階すら至る前にこの楽器を弾くことをやめてしまったということではあるまいか。想像をたくましくするに、「へフナ―を買う以上はレフティでないと!」と、僕同様に左弾きに挑戦したもののすぐさま挫折してしまったんじゃなかろうか。いかにもありそうな話に思える。
さて弾いてみた感触は、まず軽い。ホローボディーだから。
しかし、座って引きにくい。ボディーが小さいから。
それから、フレットの間隔が狭い。ショートスケールだから。本当に、なんでこんなところに9フレットがあんの!?などと思う。
そしてこれら全てが作用しているのか、弾いていて非常に脆い印象を受ける。その点ジャズ・ベースって本当によく出来た楽器だったんだなー、と判る。妾を持ってみて初めて本妻の魅力を理解した感じである(我ながら酷い譬えだ)。
今の腕前では、当分この楽器の魅力は掴めそうにない。とりあえず弦をフラット・ワウンドに替えなくてはな。あとローフレットの音がビビるんで、直しに出したいな。ついでにノブもティーポット型に付け替えようかな。
なおこの楽器を入手した新宿ロックインでは、ついでに関連商品も色々と買ってしまった。まず、今まで持っていなかったベースアンプ。なるべく軽くて安い奴をと思ってしばらく悩んだのだが、結局これもミーハー感覚からヴォックスのものにした(上の写真に写っているもの)。6000円くらい。
弦も買った。ブラック・ナイロンのフラット・ワウンド。これも6000円くらい。弦がアンプと同じ値段ってどういうこっちゃ。
ピックとピック・ケースも買った。ピック、ポールはポールでもギルバートさんの方です。ピックはずっとオニギリ形を使っていたが、ティアドロップもなかなか悪くないです。それはいいんだけど、これが弾いててどんどん銀色がハゲてきて驚いた。指も蛾の鱗粉がついたみたいに銀色になるし。
ピック・ケースは1000円くらいして、ケースに1000円はアホらしいと思ったのだが、ザッパの絵柄に負けて勝ってしまった。これは良いデザインです。しかも帰って開けてみたらちゃんとピックも入っているんですね。勿体ないし薄手だしで使うアテはありませんが。
ソフトケースに着けようと思ってバッヂも買った。こういう小さい買い物で金を失うタイプである。