こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

PUZZLE(前編)

 『ズッコケ大脱走』の全曲感想を書いたノリで次作の『PUZZLE』についても書いてしまう。しかしこれも長いアルバムだね。全15曲、計69分。昔だったら2枚組みだ。前作のファンクは今回はナシ、のみならず演歌・歌謡曲フレバーも大分抑え目になっており、マァ言ってしまえばフツーのJポップのアルバムとしてグッと聴きやすくなっている。フツーとは言うものの、楽曲は結構粒揃いで、70分近くある割に飽きずに聴ける(後半にやや地味な曲が固まっている印象もあるが)。僕も最初はこのアルバムが一番好きだった。関ジャニ∞(いま「∞」を「えいと」から変換しようとしてしまった…)初心者にオススメと言ったところか。
 ボーナスCDはお馴染みソロ曲集。涙無しには聴かれない「413man」など聴きものの曲も無いではないが、次作『8UPPERS』のソロCDが大充実なのに較べると、どうも地味な印象。本作はそれよりもDVD収録の大傑作「Kicyu」が全てを上回っている。メイキングも面白い。
 ジャケットは、悪くはないが、そんなに良くもない。なんか言っちゃ悪いけど関ジャニ∞のアルバム・ジャケットは今のところ名作がないようだ。ジャニーズがそれでいいのか。


1.一秒 KISS
 みんな大好き一秒KISS。僕もカラオケでよく歌います。冒頭の速弾きギターは「よっちゃん」こと野村義男。charと友達の、ギターが上手いアンちゃんという印象ですが、考えてみたらたのきんトリオなわけだから関ジャニの先輩に当たるわけですね。まあ芸風も似ていないではない。
 詞曲もよっちゃん。深く考えずに聴ける楽しい曲である。なーいなーいなーいなーい♪ 終盤の「バイバーイ」って誰でしょうか。丸山?
 馬飼野さんの曲ではないが妙に昔のジャニーズっぽい感じ。


2.アカイシンキロウ
 これも90年代のジャニーズっぽい…というよりもモロ、モロに「青いイナズマ」でんがなコレ。作曲者一緒(林田健司氏)。作詞者は別人とのことだが歌詞の調子もよお似とる。タイトルもタイトルだし、そもそもが「第2弾を作ってみましょう」という意図の下に制作された楽曲であると思われる。それがどうして関ジャニ∞に宛がわれたのかは定かでないが。
 打ち込み主体の音作りは苦手だが、曲がキャッチーなのでそこまで気にならない。ただこの曲、別に悪くはないが、敢えて2009年に新曲として出すほどの曲でもないように思える。『PUZZLE』は、馬飼野氏の曲が意外と多いながら、いかにもジャニーズ風の曲はあまり見られない、その一方でこの冒頭2曲がいかにもジャニーズで(実際ジャニーズなのだが)、却って浮いてしまっているようだ。どうせならこの2曲を削ってしまえば(没が惜しいならシングルB面とかに持ってけば)、時間も短くなるし、全体の色合いも整って良かったんじゃないのと思う。次曲「PUZZLE」から始まるアルバム、まあそれもまた斬新でいいじゃないか。


3.PUZZLE
 錦戸亮斉藤一義に直談判?して書いてもらったということで(ファンの間では)有名な曲。オケ作りも殆ど斉藤さんがやってくれたようです。この曲のカッコイイところは、最後の最後、フッと静まり返って「眠れない夜はいつも…」という冒頭のフレーズが再び歌われるその直前、4:50からの5秒間ほど、ストリングスが16分音符でキュルキュルキュル…と駆け上がっていくところ。多分ビートルズの「A Day in the Life」をモチーフにしたと思われ、サイケデリックで刺激的である。そこでフッと静かになるのがまた、いい。
 割と地味な曲だと思っていたが、聴き直してみるとメンバーそれぞれの歌唱がちゃんと響いていて聴き応えがある。2番Bメロの丸山が特に良い。


4.渇いた花
 「乾いた」ではなく「渇いた」。日本語表記って難しいですね。
 カッコイイ曲。冒頭は渋谷の独壇場だ(一人しか歌ってないんだから当然だが)。バックに綺麗なコーラスが入っている。YouTubeの映像(音楽番組。『ザ少年倶楽部』?)で、渋谷以外のメンバーがコーラスを付けているサマをしているのを見たことがあるが、勿論当て振りであった。これは難しすぎるわな。『PUZZLE』ツアーの映像でもコーラスを付けている風ではあるが、やはりこれも当て振りだろう、さすがに。でも実際にメンバーで再現してくれてたら感動。
 曲調はAORになるのか、あ、R&B? オシャレで黒っぽい(そういやこのコーラスはゴスペル風か)。これも錚々たるミュージシャンが伴奏を務めているんだろーなーと思わせる。途中でトランペット・ソロも入るが、「二人の涙雨」でソロを務めたのとおんなじ楽器とは到底思われない。編曲も良くって、ゆったりしたテンポの曲だが4分弱で、ムダなく収めてある。
 サビは、声を張り上げてはおかしい曲でありながら、結構高い。カラオケで試してみたが声が出なかった。それは私個人の問題か。あと、いわゆる「歌」の部分以外の、間奏中に「Oh, yeah 〜」とか、この曲だと「Let me cry, let me cry 〜」とか入れるやつ、主に渋谷であるが、前作と較べて随分上手くなっている。
 2番Aメロの丸山が良い。なんか丸山ばっかり褒めているな。丸山は「上手いけどやや無個性」という印象だったが(声が細いのか)、こうして聞いていると結構いい仕事してます。


5.ゴリゴリ
 アルバムの中で一番短い曲(3分30秒)。そう言えば、『ズッコケ大脱走』で一番短い「強情でGO!」も殆ど同じ長さでした。
 バンドナンバー。イントロのベースが印象的。僕が関ジャニ∞で最初にベースをコピーした曲、だと思う(いや「無責任ヒーロー」かな?)。マイク(古ぅ…)はリアに入れて、ピックで「ゴリゴリ」と弾きたいところですが、ライブでは丸ちゃんは指弾きしていたと思います。
 割と好きな曲だが、考えてみるとあんまり書きたいこともない。最後の「うらぁ!」というのが好きです。みんな好きだろうけどさ。


6.イッツ マイ ソウル(KJ3 MIX)
 ここに来て初めてシングル曲。これはミックス違いだそうですが、シングル・バージョンも聴いたことがある筈なのだが、どうも違いが判らん。
 それはともかくとして、これは本当によく出来た曲で、これを引っ提げてデビューするバンドなんかが現れたりしたら、「とんでもないのが出てきた!」と騒然とするのじゃないか(僕は)。歌詞はまあ他愛もないのだが、曲がカッコイイ。
 まず、イントロが超カッコイイですよこれ。特に歌が入る直前、タララ・タララ・タララ・ターってなるところ…判るでしょうか(0:20〜)。イントロもカッコイイが歌もカッコイイ。これ、歌いだしは「そうでもない第一印象…」(大倉頑張ってます)以下、一まとまりあってこれがAメロ、その次のまとまりが「イヤ参ったそこはツボ…」で、これがまあBメロに相当するのだが、普通Bメロと言えば起承転結の「転」に当たるのであって、曲全体の中でちょっと抑え目だったり変わり目だったりを担うものだ。他のシングル曲、例えば「ズッコケ男道」や「無責任ヒーロー」のBメロを思い起こせばそれが明瞭に判る。ところがこの曲の「イヤ参った…」部分は、Aメロから「転」ずるというよりもAメロを更に力を入れてやり直している感じで、そのクレッシェンド感というか、ギアをぐっと上げた感じが、なんか聴いていて非常に「アガル」のである。わかるかなー、わっかんねえだろうなー…(これも古い)。
 ボーカルの面でも、錦戸→安田→渋谷→丸山が2小節ごとに入れ替わり立ち替わり歌っていくのが、もう震えが来るほど格好良い。特に1番の「いや参った…」というの、錦戸の声質がよく合ってます。
 ま、サビもキャッチーでよろしいですが、この曲のキモはこの、BメロなのにBメロの役目を果たしていない部分にある。バカっぽいタイトルだが、カッコイイ曲である。
 ところで、さっき気付いたのだけれど、この曲想というのは、基本的には「ズッコケ男道」をそのまま継いでいるのであろうか。伴奏の一音一音を聞いていると「ズッコケ〜」と殆ど変らないような気がしてくる。ただ、「ズッコケ〜」にはあったロックのテイストがこの曲では排されていて、その意味では純ディスコということになる。PVでもミラーボールが回っていた。
 ところでこの曲、コンサートではかなり大幅にカットされている。まず2番が丸々カットされていて1番が終わったらすぐに「ガッタガッタガッタ……」となるのだが、それに留まらず、「ガッタガッタガッタ、イッツマイソウル〜♪」の次がいきなり渋谷の「君を思い出さない」云々のソロパートになってしまうのだ。
 そりゃねえだろと思う。「ガッタガッタガッタ、イッツマイソウル〜♪」の後の、ストリングスの動きまくるフレーズや、上述したタララ・タララ・タララ・ター♪の上での錦戸(多分)の「Oh, yeah〜」がカッコイイのだし、更にその後の「Oh 無神経な言葉を」云々というところだって聴かせどころだと思う。特にその末の「(得意だったり)するからツボやねん」というところはボーカルの上に1オクターブ上が重なってきてゾクゾクするのだ。
 そうした展開を経て例の渋谷ソロへと到るという点に構成の妙があるのに、そんなこんなを全部すっ飛ばしてしまうのはちょっとやりすぎだ。1曲の長さを抑えて曲数を増やすのは確かにファンの要求に応えたものなのだろうが、僕はコンサートは「聴く」のが主体だと思っているし(関ジャニ自身も「聴かせる」のが主体だと思っていると思う)、曲の魅力を最大限活かすようにしてもらいたいと切に願う。


7.ローリング・コースター
 人気曲であり、バンド形式での代表曲でもある。生で観られた時は嬉しかったなあ。
 前にも書いたように僕が初めて「意識的に」関ジャニ∞に接したのは2009→2010のカウントダウン・コンサートのDVDだったのだが、御存知の通りそこでの1曲目がこの「ローリング・コースター」であった。つまり、僕にとっての「関ジャニ∞」本チャン1曲目がこの曲だったわけだ。ジャニーズには偏見があったが、これはいい曲だなと思いましたよ。あと、当て振りじゃないとしたらドラムめちゃ上手いやんけ、とも思った。
 今このDVDを観ても(みんなして豹柄はどーかと思うが)、錦戸の歌い出しはすげえカッコイイです。
 バンド曲なのだが、このアルバムのバージョンを聴くと結構キーボードの細かい音が沢山鳴っているのが判る。村上がどのくらい再現しているのかは、知らない。
 歌詞の内容は、前曲の「イッツマイソウル」と大方おんなじではないかという気がする。女の子の方は客観的に見て魅力的ではない(むしろ問題が多い)のだが、それにも関わらず僕は惹かれているよ…という、ああジャニーズファンの女の子はこういう歌詞を聞いて「脈ありじゃん!」みたいな感じで喜んじゃうわけだ…などと意地悪くも思ったものでした。しかし「紳士ぶってウケる」って、相当ムカツク発言だよな。
 「大体リサーチ済み 君の大好物並べたい」という歌詞があるが、僕は暫く「君の大好物のラーメン・タイム」だと思っていた。


8.My Last Train
 バラードです。別に無理してバラード入れなくてもいいじゃん、と、ベタベタのバラードが好きでない僕なんかは思うのだが……。それか、いっそのこと「二人の涙雨」みたいなのの方が、日本人的涙ちょちょ切れ的に陶酔できて楽しい。
 ま、この曲については、サビ以外でメンバー各々の声が堪能できるのが良いところと言えようか。カラオケで各人のマネをして歌う楽しみがあります。さて、「二人の涙雨」で絶唱を聴かせてくれた大倉は本曲ではどうかと、注意して聞いてみると……あれ? 大倉どこにいるの? ……と、最後まで判らず。
 どうも、消去法からすると冒頭の歌唱が大倉だった、ということになりそうなのだが、唄い出しなんかは完全に渋谷の声にしか聞こえない。確かに、歌が進むに従って段々「この部分は確かに大倉っぽいかも」と思える部分もあるが。
 うーむもっと低い歌声と思っていたが、まだまだ(僕の)修業が足らんということでしょうか。