こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

PUZZLE(後編)

9.無責任ヒーロー
 曲数的にも、ここからが後半戦ということであろうか。
 シングル曲。これはイントロがめっちゃカッコイイ。うねるエレキギターもいいが、何と言ってもドラム。出だしの♪スットトントンストトントン、というところもいいが、その後に16分音符で2小節たっぷりクレッシェンドで駆け上がるところは聴く度にゾクゾクします。ひょっとしたらイントロが曲中で一番カッコイイかも知れん。
 楽器だけでなく、「いきますよぉ〜」「ハイ!ハイ!ハイ!」というのも、いわば「ただの日本語」なのだが、痺れる。「Are You Ready?」を日本語にしようと思うと「準備はいいか?」くらいに、どうしてもなってしまうが、正しい訳文は実はこの「いきますよぉ〜」である(そしてそれに応答する「Yeah!」の訳は「ハイ!ハイ!ハイ!」である)、ということがこの曲によって明らかにされたことは日本のポップス史上重要である。
 さて、「無責任」と言えば、言うまでもなく植木等クレイジー・キャッツ)なわけで(だからカラオケでこの曲を入れるといかにもソレ用らしい映像が流れる。あれもどうかと思うが)、つまり関西からは外れているわけだが、「好きやねん、大阪」に代表されるようなコテコテ(=アンチ現代風)の曲で予め大まかなイメージを作っておくことによって「無責任」のような非・関西のキーワードも(いわば「レトロ」に一括するような形で)自然に出して来られるのは彼らの強みであると言えよう(『8UPPERS』でこの風味を完全に捨てたかと思われたが、『FIGHT』で「モンじゃい・ビート」を出してきたのは偉かった)。
 「ズッコケ男道」と並ぶ(世間的な)代表曲と思われますが、「ズッコケ〜」がディスコ+ロックなのに比較すると、この曲は…よく判らんが、まあロックンロールでしょうか。そう言えばサビではピアノがいかにもソレ風のフレーズを聞かせてくれています。
 名曲の条件たる「Bメロが良い」という点を、この曲もバッチシ満たしている。また、「♪上がって下がって」という、いわば「ノリ所」がBメロに用意してあるというのも珍しい。サビはサビで「ジャジャジャジャーン」があるし、サービス精神に富んだ曲であるという点でも「ズッコケ男道」に通ずるものがある。
 まともなソロ・パートは渋谷・錦戸・大倉(この人は声はとても良いと思うんだが棒読みになることが多いのが玉に瑕)くらいなので、CDよりもコンサートとかの映像で見る方が楽しめる。何となく横山・村上・丸山が歌よりも野次入れ係に回された印象(実際には大倉やらも色々声を入れておりますが)。
 この曲はPVもいいですね。すごく楽しそうで。金はかけずに手間をかけている、という感じがするのも好印象。


10.ブリュレ
 これも人気曲でしょう、多分。『FIGHT』ツアーで観られなかったのは残念だった。シングルのカップリングに入っていた「ケムリ」(これも格好良い)とよく似た感じの曲だが、全体的な出来映えでは確かにこの「ブリュレ」の方に軍配が上がるように思われる。
 打ち込み主体の音作りで、その意味では「アカイシンキロウ」のようであるとも言えるのだが、アコースティック・ギター(イントロかっこいい!)とエレクトリック・ギターが強調されているロックなアレンジなのであまり気にならない。
 この曲も純粋なソロ・パートがあるのは錦戸(この唄い出しかっこいいすね)・渋谷・安田・大倉くらいで(多分)、うーむ丸山も出せよと思うが(そう言えば大名曲「願い」のソロもこの四人だったな)、まあダンスのこともあるし、これも映像の方が楽しめる一曲と言えようか。
 余談ながら、この曲のイントロになんか安田の声のような音がちょいちょい入っているのは何なのだろうか。


11.咲いて生きよ
 なんか地味な曲。が、聴いていると凄くいい曲のように思える時もあります。「沁みる」と言いますか。
 ソロパートが多いのも嬉しい。サビはユニゾンですが、後半でハモるのも気持ちよい。
 あと、2番の後の間奏がシリアスな感じでいい。その後の「笑顔で…」云々のところもいいです。特にその部分の最後、渋谷の「ありがとう…」というところのバックで入る、揺れるコーラス。これもシリアスな印象を盛り上げていていいんだなあ。


12.ギガマジメ我ファイト
 「ぎがまじめがふぁいと」と読みます。みんな知ってるって。
 これはねえ、最初の「さぁ届け!」を横山にやらせたのが最大の成功だと、私は思う。皮肉じゃなくて。ここはちょっと感動します。「さぁ届け!」だけで感動させられるのは、声の力があるってなわけで、凄いことです。2回目と3回目は村上がやっていますが、これも横山で良かったんじゃないかな(4回目の「さぁ歌え!」は再び横山)。
 あ、但しサビ後毎の「Oh 〜」だか「Wow 〜」だかを、最初からずっと渋谷がやっているのを、最後の最後だけ村上(補記:丸山?)がやっている、これは良かったと思います。渋谷だと出ない直情径行?な感じがあって。
 これも打ち込み主体の曲ですね。でも別に安っぽい感じはしないし、むしろ芯が太い感じで、良いんじゃないでしょうか。ベース音のフレーズも格好良いし。歌は丸山が良い。


13.情熱Party
 これは確かバンド曲でしたか。作者は品質安心保障のTAKESHIです。メロディーが安直でなくちょっと凝った感じがあって、良いですよね。アルバムの終盤を感じさせる、いい曲。タイトルはちょっと恥ずかしい気もするが、まあこの歌詞だったら他に付けようもないわな。


14.ワッハッハー
 この曲はシングルの中ではあんまり人気がないんじゃないかという気がしているのだが(のどか過ぎるというか)、意外といいですよ。バカにしている人には再聴を促したい。
 まず、イントロから聞こえてくるベースギター(+キーボード)のフレーズ、これは正にジェームズ・ジェマーソン!、かどうかは知らないが、モータウン風です。その後もアレンジと演奏が、絶妙なバランスで実に気持ちいい。
 ……と書くと、「(ジャニーズだし)ボーカル無ければもっといいのに」という声が条件反射的に出て来そうだが、実際にはボーカルも気持ちいいです。まあ元々モータウンの明るい曲と言えば、そんな歌唱力で聞かせるというよりも全体で楽しけりゃいいということなんじゃないかとは思いますが(違うかな)、しかしソロ・パートを聞いていても、全然伴奏を邪魔していません。また、サビで7人斉唱ということになると、どうしても「ジャニーズの声」になってしまうのだが、この曲だと「僕が笑えば(僕が笑えば…)」というように後追い式のコーラスが付いているので、そのお陰で人数が分散されて、ユニゾン部もいい具合に聞こえている…ような気がする。
 これはコンサートで演るなら、小さめの会場で、ちゃんとしたバンドの伴奏で聴きたい曲です。
 この曲もPVが良い。


15.どんなに離れてたって傍にいるから
 唄い出しは村上です。それを継ぐのは横山です。その次は渋谷です。別に前の二人が悪いと言うことはないのだが(コンサートでは知らんが)、やっぱり渋谷の方が力の入れ具合を判ってるなあという感じがしますね、如実に
 なんか「普通の良い曲」という印象で、今のところ僕の中で今ひとつです。長いアルバムなんだし、「ワッハッハー」で終っても良かった。
 終盤以外、冒頭から延々とソロパートが続くのは面白いですね。