こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

丸ちゃんベースが欲しい人のために

 以下の文章は、丸山隆平に憧れてエレキベースを始めようとする人(≒楽器初心者)が、丸ちゃんになりきるためにはどのようなベースを買えば良いのか、について、ささやかながら指南するために記すものである。


 丸ちゃんのベースと言えば、『PUZZLE』ツアーではSTR GUITARS(サトルギターズ)というハンドメイドもの(多分、超高い)を使っていたり、「イエローパンジーストリート」のPVではファイアグロー色のリッケンバッカー(超格好良い。多分4001Sという型?)、「Fight for the Eight」のPVではまさかのプレベを操る姿が見られるが、やはり丸ちゃんと言えばジャズベを指弾き、という印象がある。
 エレキギターに詳しくない人のために注記しておくと、ジャズベというのは米フェンダー社の「ジャズ・ベース」という機種のこと(ジャズ用のベースという一般名詞ではなく、固有名詞)。また、先に出たプレベというのは同社の「プレシジョン・ベース」の略である。
 なお、このジャズベプレベはどちらもエレキベースの代表機種であって、世界中のベーシストがこれらを使用しており、世界中の楽器メーカーがこれと全く同じ、ないしは殆ど同じ形のベースを作っている(よって、ジャズベを使っているだけで「ひょっとして丸ちゃんファン?」などと勘ぐられることはまず有り得ません)。ベースの教則本なんか見るとよく「初めてのベースはどんなものを買うべきか?」というコラムが載っているが、そこには大抵「ジャズベプレベといった定番モデルを買おう」「最初は、自分の好きなアーティストが使っているの(と同じ見た目の機種)を買ってみよう」などと書いてある。関ジャニ∞ファンがジャズベを買うのは、この2点をバッチリ満たしているのである。

 さて、丸ちゃんと言えばジャズベ。そして、PVやライブDVDで見る限り、近年の彼は2種類のジャズベを使用しているようだ。1本は「ナチュラル」という、ボディに色付けをしていないもの(黄色ではない)で、もう1本は「3トーン・サンバースト」という、茶色から黒へとグラデーションがかかった塗装のものである。おそらく、多くのファンに馴染みがあるのはナチュラルの方だと思われるが、サンバーストの方が購入が容易なのでこちらから話を始めることにする。


(1)Fender Jazz Bass (3 Tone Sunburst)
 このベースは『FIGHT』ツアーのDVDや、「ツブサニコイ」「愛でした。」のPVで見られる。つまり最近よく使用されている一本と言えようか。
 ボディーの色以外の特徴としては、次のような点が挙げられる(以下、専門用語が続出しますが、それぞれがどういうものであるかはインターネットで検索すれば立ち所に判ることなので、説明は一切省く)。

・指板はローズウッド
・ポジションマークは白ドット
・ピックガードはベッコウ柄(3プライ)
・2ボリューム・1トーン(ノブは黒・7角形)
・フィンガーレスト付き

 条件が多いようだが、実はこの仕様は、はっきり言ってジャズベの中でも定番中の定番で、まあその意味では面白くも何ともないベースである(その分、後で「なんでこんなの買っちゃったんだろ・・・」などと悔やむ可能性も低く、初心者向けと言える)。よって、ある程度大きな楽器屋さんに行けば同じ見た目のモノをまず確実に見つけることができるであろう。フィンガーレストが付いていないかも知れないが、別途購入して(500円くらい)自分で付ければ良いのである(予め楽器にネジ穴が開けてあることが多いので、ネジ回しを持っていれば簡単に付けられる)。
 ただ、そのように簡単に手に入るとは言っても、あくまでそれは「同じ見た目」のモノについての話であって、丸ちゃんと「全く同じの」を買おうとするなら話は別である。丸ちゃんのサンバーストのジャズベがどのようなモデルであるかは、バンドスコアでも触れられていないので全然判らないのだが、まあ普通に考えて日本製やメキシコ製などではなく、歴としたアメリカ製であろう。見た感じからしてビンテージものではないようだが(ビンテージになってしまうと100万円越えもザラにある)、まあ現行モデルでも安くて15〜20万円くらいはするであろう。
 と言うわけで本家本元のフェンダーUSAは早々に諦めるとして、次の選択肢は何か。
 先に述べたようにジャズベ型のベースは世界中の楽器メーカーが作っているので、楽器屋に行ってとにかく安いのを選ぶというのもテだが、フェンダーには実はフェンダー・ジャパンというものもある。これはまあ、捉えようによっては本家フェンダーUSAとは全くの別物と言っても良いようなものではあるのだが、とにかくヘッドに「fender」のロゴが入っていることは確かである。どうせ初心者にUSAとJAPANの違いがそう判るわけでなし、安いJAPANで充分ではないか。
 ただ、安いとは言ってもそうムチャクチャに安いわけでもない。5,6万円は覚悟されたい(アンプや小物類を勘案すると、それにプラス1万円)。ま、親戚が多い家の子供の1年分のお年玉がそれくらいか。
 そういうわけで、フェンダーJAPANでも予算的にちょっと苦しい、という人は再度、別のメーカーのを探せばよろしい。本格的にベースにのめりこんできたらアルバイトでもしてお金を貯めて、改めて値の張る良い楽器を買えば良いのである(その頃には丸ちゃんより好きなベーシストがいる可能性もある)。なお、安く買えるところとしては、フェンダーの、JAPANとはまた違うが同じく廉価版ブランドとしてスクワイア(Squier)というのがある(多分中国とかシンガポールとかで製造されているもの)。こうなるともうロゴも「fender」ではないわけだが、まあフェンダー様の後ろ盾があるということで、漫画雑誌の広告に出ているようなワケのわからんメーカーのを買うよりも安心である。スクワイアだと楽器屋で3万円前後で買えるという印象である。
 日本のメーカーで、グレコ、フェルナンデス、バッカス、フジゲン、ヒストリー(島村楽器)といったところもジャズベ型のベースを作っていて、評価も安定しているようだ(まあその辺りのことは楽器屋の店員さんに訊いて下さい)。初心者向けのモデルであれば5万円前後で買える。
 勿論、中古品を選ぶという手段もある。これなら例えば、フェンダーJAPANの本来なら5万円以上するモデルが3万円で買えた、ということもザラにあろう。運が良ければ夢のフェンダーUSAを10万円以下で買うことも可能かも知れない(但しアンプや小物を買うお金を残しておこう)。
 なお、リサイクルショップなんかでもよく楽器が売られている。結構安価だったりするので魅力的だが、ちゃんと整備されていない場合が多いようなので、自分で整備できない人はちゃんとした楽器屋で買うのが無難であろう。なんか書いてることが段々『月刊GiGS』みたいになってきたな。


(2)Fender Jazz Bass (Natural)
 僕は古参のファンというわけでは(全然)ないので、丸山がいつごろからこのベースを使っているのか知らないが、2004年のコンサートを収めたDVD『Excite!!』で既に見られる、とどこかで読んだ(未確認)。PVだと「∞SAKAおばちゃんROCK」(2006年)でこのベースを使っているのが確認される。それから5年を経た「マイホーム」(2011年)のPVでも弾いている。2009→2010のカウントダウン・コンサートや『8UPPERS』、『FIGHT』ツアーのDVDでも使用する姿が見られ、今なお丸ちゃんのベースの代名詞的存在と言っても良いのではないか。
 さてこちらのベースは、ボディーの色がナチュラルである以外にもサンバーストの方とは仕様が色々と違って、具体的に挙げてみると次のようである。

・指板はメイプル
・ポジションマークは黒ブロック
・ピックガードは黒(3プライ)
・2ボリューム・1トーン(ノブは黒・7角形)
・フィンガーレストなし

 これだけ揃っている楽器を買えばまあ、丸ちゃん気分になるには充分であろう。こうした点に留意せずにいい加減に選ぶとあとでDVDかなんか見直した時に「あっ、丸ちゃんのと違う!」などと叫ぶ羽目になるので気をつけよう。まあこのベースについてはバンドスコアにばっちり写真が載っているので、楽器屋に持って行って「おんなじの下さい」と言えばそうそう間違いは起こらないだろう。
 なおこの仕様のジャズベは、マーカス・ミラーというアメリカの偉いベーシストが(色々カスタマイズされたものだが)使っていることもあって、「本格派」というイメージの強い機種と言える。本格派になる覚悟をした上で選びたいものである。
 さて、この仕様は、どうも元々は1975年ころのものであるようだが、バンドスコアにある説明だと丸ちゃんのは1999年製というだけで、特にカスタムショップ(コレがまだ高いんだ)がどうのといったことは書いていないから、当時の一般現行モデルなのであろう。現在のカタログでいうAmerican Vintage '75 Jazz Bassというのが、これに相当しそうだが(補記。2013年10月20日放送の『LIVE MONSTER』でも、このモデルであると紹介されている。但し根拠などは不明)(ブリッジやピックアップ上に金属パーツがついている画像もあるが、それらのパーツは取り外し可能)、これはなんぼ安くても20万円くらいする。当然、普通の初心者には手が出ない。というか、(例えば大人になってから楽器を始めるなどの理由から)20万円が出せる人であるとしても、「楽器を始める」ということは「挫折する」というリスクと常に隣り合わせなのであるから、一本目からこんな高価なベースを選ぶのは得策ではない。押し入れのコヤシになってしまった場合の経済的損失はなるべく抑えたいものである(中古楽器屋に売るというテもあるが、20万円で買ったものが20万円で売れるわけではないことは、楽器の初心者にだって容易に想像の付くところであろう)。
 そんなわけで(1)のケースと同様にFender JAPANのお世話になろうとするわけであるが、ところがどっこいウェブサイトを見ても丸ちゃんベースと同じモノは出ていないのだ。「JB75」というのが比較的近いようだが、ピックガードが白だったり(まあこれは自分で交換することも出来るのだが、工作が好きな人でないと難しかろう)、ポジションマークが白だったりして、丸ちゃんの気分になるには不充分である。
 ではFender JAPANによる丸ちゃんベースは手に入らないかというと、実はカタログに出ていないだけで、あるにはある。「JB75B」というモデルがそれである。これはインターネットで調べて頂ければ判るように、丸ちゃんベースとほぼ同じ仕様である。但し、売値は楽器屋で大体10万円前後らしい(参考 http://item.rakuten.co.jp/miyajimusic/ka-b-07141104/)。ヴァイオリンやらピアノやらに較べれば随分安い方だとは言え、やはり一本目のベースの値段としてはいささか高すぎる。
 では他のメーカーで見つからないか。
 実は、先程も紹介した廉価版フェンダーのスクワイアに「Vintage Modified Jazz Bass 70's NAT」というモデルがあって、これが丸ちゃんベースと大体同じ仕様なのだ。ただ、ノブが黒でなく銀(クローム。形も7角形でなく円柱)なのが違っているが、ノブは自分で簡単に交換できるので大した問題ではない。このベースが公式サイトでは54600円となっているが、おそらく楽器屋さんではもっと安くで売っているだろう(ネットでは3万円弱のものも見られる。参考 http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=698%5E032-6702-521%5E%5E)。とりあえず丸ちゃんと同じ見た目のが欲しい、という人にはこれが一番お手頃であろう。
 なおよく似たモデルに「Vintage Modified Jazz Bass 70's V NAT」というのがあるが、これは弦が5本あるもので(念のために注記しておくと、普通のエレキベースは弦が4本)、間違って左ハンドルの外車を買っちゃうようなものだから、決して迂闊に選ばないように。
 これに限らず、「ノブが4個も付いている」「アクティブ・サーキット搭載」「ハムバッキング・ピックアップ」といった、豪華な仕様になればなるほど、どんどん丸ちゃんベースから離れていってしまうので、注意が必要だ。


 ついでに、小物について。
 なんかのツアーDVD(PUZZLEだったか)で音符マークの入った幅広のストラップをベースに付けていましたが(「∞SAKAおばちゃんROCK」のPVで既に見られる)、これはスティーヴィー・レイ・ヴォーンが使っていたことで有名なモノです。最近、神田商会からRENEGADE「SRVシリーズ」として再発売されたようです(http://gakki.me/n/data/2012070204.html SRVというのは勿論スティーヴィー・レイ・ヴォーンの略称でしょう)。丸ちゃんは近年は使っていないのかも知れませんが、「∞SAKA〜」ではジャズベに装着していることでもあるし、ミーハー心が満たされるかも知れません(10月5日追記:渋谷のクロサワ楽器で5775円で売っているのを発見。お茶の水でも色違いを見かけたし、流石にSRVが偉大なだけあって意外と置いてあるところは多いかも)。
 それ以外だと、黒いストラップを数種類使っているようですが、よく見えないのでそれっぽいのを適当に選べば良いでしょう。
 それから、基本的に指弾きをしている丸ちゃんですが、曲によってはピックを使っているようです(「強情でGO!」や「イエローパンジーストリート」等)。何を使っているかというのは見えない場合が多いのですが、カウコンDVDのブックレットに、緑色のオニギリ形のピックがはっきりと写っている写真があって(ピックガードに挟んだりしている)、これはジム・ダンロップ(Jim Dunlop)製の0.88mm厚のモノと見てまず間違いないでしょう。ちょっと柔らかめですね。
 また、『FIGHT』ツアーDVDを見ると、同じくオニギリ形のピックをベースに挟んでいるのが見られますが(バンドスコアの写真でも確認可能)、これは安田章大デザインのオリジナルらしく、おそらく市販はされていません。画像は、インターネットで「丸山隆平 ピック」で画像検索すると見つかると思いますが、硬さなどは判りません。
 ジム・ダンロップの方は、大体どこの楽器屋にも置いてあるごくごくスタンダードなもので、1枚100円で買えますので丸ちゃんファンは(とりあえず)これを使おう。


 さてさて以上の要点を基に、お目当てのベースが購入できた暁には(忘れずにアンプも買おう)、早速「ゴリゴリ」のイントロを真似して各自丸ちゃん気分に浸ってもらいたい。


注記:写真はいずれも『KANJANI∞ 五大ドームTOUR EIGHT×EIGHTER おもんなかったらドームすいません』の映像より。