こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

バッパーズもどき・早めの忘年会2013

 11月30日、吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズの忘年会ライブに行ってきた。バッパーズのライブは2月の新年会ライブ以来だ。
 バッパーズは、9月に新譜『Senior Bacchanals』をリリースして以来、初めてのライブではないかと思う。尤も今回は都合のつかないメンバーも多かったようで、ホーン隊は半分弱がいつもと違うメンバー。そんなわけで「バッパーズもどき」と命名されていた。ベースの牧裕さんも急遽参加が適わなくなり、こちらも代打であった。
 『Senior Bacchanals』についてはこのブログでも書かないとと思いつつそのままになっている。作品は、既にライブで観ていて知っている曲が殆どなので新鮮味に乏しいという部分は個人的にはあったが、曲も粒ぞろいで質は上々、勿論必聴である。特に「Gumbo de Twitter」冒頭のギターソロ、「顔のシワ」での早崎詩生の流麗なピアノが素晴らしい。とにかく、以下の公式トレイラーを観て少しでもピンと来たら迷わず買うべし。
 
 さてそんなバッパーズの年忘れライブ、場所は高円寺のジロキチ。ブルースに関心のある人なら老若男女を問わず一度は聞いたことがある名前であろう。実は僕は初めて行った。高円寺に降りるのも初めてだ。
 今回のライブは事前予約がナシで、午後5時半に整理券を配布、1時間後の6時半に整理券順に入場、100人超辺りになると定員オーバーでお断り、とのことで、それって並んだはいいものの入れない可能性があるってこと・・・?と危惧されたので、整理券配布の30分前に行ってみると、既に立派な列が出来上がっていた。僕の後ろにもどんどん人が並んでいく。自分の前をアバウトに数えてみて、まあ100人以内には入っているだろうな、と確認。結局貰った整理券は66番で、まあ余裕はあったのだが、僕の後ろで貰い損ねた人もきっといるだろう。早く並んだ人が早く手に入る、という意味では、努力と結果が直結する公平なシステムとも言えそうだが、11月末の夕方に並ぶのはなるべくなら避けたいものだ。
 整理券を貰って、開場時間まで駅前をぶらぶら。本屋で『ロッキング・オン』を立ち読み。ベックの新譜にジャック・ホワイトが参加してるって? 要チェックやな。ポールの来日公演についても記事あり。キャッチコピーは「ありがとう、ポール」。みんな思うことは一緒だ。僕も行った11日の大阪公演のレポートもある。1曲目の「Eight Days A Week」で声が出ていなかったとあるが、そうだっけな? 松村雄策の寄稿も勿論ある。面白かった。でもそうして渋松対談がないんだろ。
 本屋を出た後、商店街に入って楽器屋ないかな〜と思いながら歩いていると、本当にあったので有り難く入る。中古専門の小ぢんまりとした店で、エフェクターコーナーにMXRのM-80 Bass D.I. +が12000円くらいで置いてある。丸山隆平が使っているというので丁度今とても気にかけているエフェクターだ。定価は36000円というから、かなりおトクだ。ううむ・・・と悩むが、おれにはまだ早いやと思って買わずに立ち去り、ジロキチへ戻る。やがて開場の時間になったが、ここでも30分くらい外で待たされた。やっぱりコレは、改善の余地があるんじゃないか。
 やっとこさ入った店の中は、思ったよりも随分小さい。既に前方の椅子はみんな埋まり、その後ろにたくさん人が立っている。僕もそこに加わる。見回すと、壁にブルースマンの写真が掛けてある。一葉のモノクロ写真の下には「Bernard Purdie」とあり、サインもしてある。ええ、バーナード・パーディーってこんなデブ(失礼)だったんだ、知らなかった。
 天井やステージ上の梁(?)には所狭しとサインがある。ブルースに疎いせいもあって全然読み取れなかったが、「CARLOS JOHNSON」だけは判った。折角なので傑作ライブ・アルバムから1曲。

 午後7時半に開演。この、開場と開演との間が長いというのも常々どうにかしてもらいたいと思っている問題である。席が指定してあるライブだったら自分の好きなタイミングで行けばいいので問題はないのだが、スタンディングだと場所取りの必要があるので開場時間にはいないといけないし、その後もずっと同じ場所に立ちっぱなしだしで、結構しんどいのだ。
 まあそれはそれとして、ライブは吾妻さん+ドラム、ベース、ピアノを中心とする小編成での演奏と、バッパーズ(もどき)との2部編成。小編成の方は、楽器の数が少ない分、各々の楽器の主張が大きい。ギターもさることながら、ピアノの早崎さん(なんと全身赤い服だった)が弾きまくっていて爽快。また、最近ドラムにはまっているので岡地曙裕さん(いつもながら最高!)の手足の動きも気になったのだが、残念というかなんというか、吾妻さんに阻まれて殆ど見えず。
 ハコが小さい分、ミュージシャンとの距離も近い。ほんの5メートルほど先にあの人間国宝候補(うそ)の吾妻光良がいて、ギターを弾いている。このブログでも何度も書いているように僕にとってのギター・ヒーローはジェフ・ベック吾妻光良なのだが、こんな状況はジェフ・ベックだったら有り得ないことである。吾妻光良だと有り得るというのが寧ろ不思議だ。そしてそんな近場でギターを弾いて頂き、手元もはっきり見えるのだが、それなのにどうやって弾いているんだかイマイチ判らない。これも不思議・・・でもないか。なおギターは例の、クラレンス"ゲイトマウス"ブラウンのサインがでかでかと入ったギブソンES-340の1本を全編使用。終演後、ステージに置いてあるのを近づいて拝見したが、格好良かったっす。あのシブいギターにハデなストラップ(なんとヒマワリの絵柄)ってのがまた、いいんだよなあ(ミーハー)。
 吾妻さんはMCも冴えていた。この日は緑のYシャツに赤いネクタイ。クリスマスを意識したとのことだが、奥さんに「ニューヨーク辺りのタコス売りにしか見えない」「『刑事コロンボ』だったら15分以内に殺される」と言われたという。爆笑。
 小編成ではずっとカバー(多分どれも未音源化)を演り、最後に人気曲「福田さんはかっこいい」を演って休憩。その後、吾妻さんがカウンターの前に陣取っていた僕のすぐ隣まで来て、僕の真後ろで観ていた女性に話しかける。なんと長見順だった。岡地さんの奥さんだって。知らなかったなあ。
 そんなわけで2部の皮切りに吾妻さんと長見さんのデュエットで、長見さんの曲「夏に生まれた夏子さん」を演奏。
 その後、バッパーズ。新譜からの曲は意外に少なく、「顔のシワ」(ピアノが抑え目だったのが残念)、「Gumbo de Twitter」「栃東の取り組み見たか」、そして元々ジロキチの何周年だかを記念して書かれたのだという「誕生日には俺を呼べ」(泣ける)がラストを締めた。大好きな「俺たち相性いいぜ」を演らなかったのは残念だが、まあ新年会で聞けたからいいや。
 耳慣れたアルバム曲が演奏されるのを聞くと「おお〜本物だ〜」と楽しくなる。吾妻さんのジェスチャーや表情も楽曲に色合いを加えてくれるので、バッパーズはライブ(より広く言うと、映像)で観てこそだと改めて思う。現在のところ唯一(たぶん)の映像作品であるライブDVD『Jumpin' at the Cuckoo Valley』は、心ある音楽ファンは絶対必携である。
 それはまあ今はいいとして、今日のライブでは、上の4曲も勿論良かったが、ハイライトはアンコール、丁度この日秋葉原ラジオストアーが閉店するということで披露された、「長らく封印していた」という1曲、「秋葉原」であった。バッパーズの中でも異例にヘヴィーな曲で僕は大好きなのだが、まさか聴けるとは思っていなかったのでとても嬉しかった。
 
 アンコールはこの1曲でお開き。楽しい晩でした。