ビートルズ『Live at the BBC』の続編が11月に出る。BBCというのは御存知の通り英国放送協会のことで、要するにイギリスのNHKである。ところがここがなかなかロックに寛容で(まあNHKでも「ヤング・ミュージック・ショー」とかあったわけだけど)、幾多のロック・バンドがBBCでスタジオ・ライブを録音しており、これが後々ソフト化されているわけである。ビートルズの他には、キンクス、クリーム、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリンなどが有名どころであろう。キンクスのBBCライブ音源は僕も愛聴している(2枚組のCDで出ているが、2枚目は全然ピンと来ないのだが1枚目は最高。Till the End of the Day!!)。
ビートルズのものは、第1弾が出たのは1994年11月というから、もう20年近く前である。第1弾もリマスターして再発するらしい。国内盤は高いので輸入盤で押さえておきたいところだが、邦訳ブックレットがないとMCなどが判らないからなあ。ツライところ。
このところ気になるCDが立て続けに出るなあ、ということをこちらで書いていて、その内のスウィンギング・バッパーズや椎名慶治の新譜は既に出ていて、これからポール・マッカートニーや関ジャニ∞の新譜、更にBBA(こっちは放送局じゃなくてバンド名)のライブ盤のリマスターも出るという頃合いなのだが、タワレコなんぞぶらぶらしていると、他にも面白そうなものが幾つも出ている。
例えば、ライ・クーダーの新しいライブ盤『Live in San Francisco』。かなり気持ちよさそうである。
趣変わって、岡村ちゃんこと岡村靖幸の久々のシングル『ビバナミダ』。ビシビシ来る。こちらも最近出たらしいライブDVDの方は、大好きな曲である「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」を見た限りでは、ちょっとやっぱり声が・・・という感じであるが。「補正」が効くぐらいのファンならば買いであろう(あ〜なんで死んじゃったんだナンシー関)。
スピッツの新作『小さな生き物』もなかなか良さそうである。考えてみれば今までスピッツのアルバムって『フェイクファー』(19歳くらいの時にツタヤでジャケ買いならぬジャケ借りした)と『スーベニア』くらいしか聴いていない。この二作に匹敵する出来なら、買っておきたい。
バンド感があって良い。
次。エルヴィス・コステロがなんとザ・ルーツと組んだ『Wise Up Ghost』。ザ・ルーツは高校の頃の友達が好きで薦めてくれたんだけれども全くピンと来なかったのだが、本作はかなり良さそう。コステロ、なんか横山剣みたいになってますが、えらいカッコイイです。
以前、「もう未知を追うよりも既知を聞き込みたい」というようなことを書いたのだが、こういうふうに気になる新譜が沢山出て来るとそういうワケにも行かなくなって、はっきり言って困る。
そして新譜だけならまだしも、所謂旧譜の方にも今まで知らなかったお気に入りが出来てしまうことが時折あって(専らYouTubeの恩恵)、こちらもチェックしていくことになる。つい最近だと、ダスティ・スプリングフィールドの『Dusty in Memphis』(1969年)。彼女の名前は勿論ずっと前から知っていたし、このアルバムもジャケットには馴染みがあったけれども、ソウルにちょっと縁遠いこともあって今まで聴いていなかった。それがたまたま、YouTubeの右の欄に出て来たんで何の気なしにクリックしてみたのが「Son of a Preacher Man」。
いや〜シビレルなあ。メロディはなんかホワイト・ストライプスみたいだし。スモーキーながらも抑えめなボーカルも魅力的だが、何と言ってもドラムとベース。最高だ。ベースはトミー・コグビル(Tommy Cogbill)という人で(ちょっとビリー・コブハムと名前がカブるね)、この曲での演奏は特に良く知られたものらしい。ドラムはジーン・クリスマン(Gene Chrisman)という人だそうだが、有名な人なのかは浅学にして存じ上げません。
この「Son of a Preacher Man」(「牧師の息子」ってなんか19世紀アメリカの短編小説にありそうだと思いませんか)がアルバム中の出色の出来ではあるようだが、他の曲も良さそうなので、CDを手に入れて聞き込みたい。
もう一枚。ダスティからは遠く離れて、キング・クリムゾンの『暗黒の世界(Starless And Bible Black)』(1974年)。「スターレスアー〜ンドバイボーブラー〜〜ック♪」といえば名盤『レッド』(同年)の「Starless」じゃないかと思うのだが、ややっこしいことにこれとは別モノ。ライブ演奏とスタジオ演奏をドッキングさせたという、フランク・ザッパ・アンド・マザーズみたいな造りのアルバムである。
クリムゾンは今までに4,5枚聴いているものの、好んで聴くのは『宮殿』と『レッド』くらいのものだったのだが、これまた何気なしにYouTubeで聴いた、本作収録の「隠し事(We'll Let You Know)」がどえらい格好良いのでビックリしてしまった。
オン・ベース、ジョン・ウェットン!! 前にも書いたと思うが、僕は所謂「リード・ベース」というものが好きではない。ベース・ソロの類も好きではない。ベースが一見ベースらしいことをしながら実はトンだりハネたりしているというのが好きなのだが、この曲のベースは完全に「リード・ベース」でありながら、全然退屈じゃないし、「それならギター弾けばいいやん」と思わせるところもない。つまりエレキベースとして違和感のないプレイをしながら、主旋律の役目も充分果たしている。素晴らしい。ぶっといサウンドも魅力的。
そう思って『レッド』も聴き直してみると、こちらでもかなり痺れるプレイをしているんですね。『レッド』はトータル・バランスとしては『宮殿』よりも好きなアルバムなのだけれど、今まではバンド全体のアンサンブルの気持ち良さということを聴いていて、ベース単体のプレイというのをあまり気にしていなかった気がする。反省しよう。
『暗黒の世界』については、『レッド』に較べると即興的要素が強くてツライかなという感じもあるのだが(『太陽と戦慄』はそれで断念した)、一度しっかり腰を据えて聴いておきたい。ビル・ブラフォードのドラム・サウンドも好みである。ロバート・フリップ(東京タワーの蝋人形館で観ました。潰れる前に一度行っておいて良かった)も勿論、良いです。