こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

へそ曲がり/ここにしかない景色

 関ジャニ∞の7ヶ月ぶりのシングルである(間に「クルトン」があるけど)。これシングルなのに43分もあるんですね。カラオケを含んでいるせいだけれども、各曲が意外と長いんだよな。「愛でした。」のリミックスが8分間あるのは例外としても、他4曲もそれぞれ4分以上ある。でも逆に5分以上のものはなくって、その意味ではまあまあ良いバランスでまとまっていると言える。
 本作は両A面シングルということで、確かに「へそ曲がり」と「ここにしかない景色」に気合いが入っているのは伝わってくるが、カップリング曲も地味ながらなかなか良いので、ミニアルバムのような感覚でも聴ける。「愛でした。」はボーナストラックの気分で。


1. へそ曲がり
 「あおっぱな」の続編のような感じがするタイトルであるが、作者は怒髪天でなくTAKESHI。但し編曲はいつもの本人と久米康隆のタッグではなく、こちらもお馴染みの大西省吾。大西のアレンジによってより現代風のパワーポップに仕立てようとしたか(いい加減なこと言ってます)。「あおっぱな」はブラスが効いて楽しい感じだったが、この曲はエレキギターが主役を張っている。
 冒頭の、敢えてテンポ感をなくした「立ちはだかる困難に・・・」というところからして良作の雰囲気がプンプンするが、実際、上々の出来である。
 冒頭のゆったりから突如ビートを効かせてくるのも格好良い。「時代とかじゃないだろう」という歌詞も良い。
 また「かませAre You Gonna Go My Way」というのも非常に痛快なフックで、個人的にはここが聴きたくてこの曲を聴くというところがある。同じような手法は「ER」でもあったけれども、私の好みでは「へそ曲がり」の方がずっと良い。このフレーズは曲中に2回出て来るが、それぞれ違うところに挟んであるのもニクイ。
 冒頭のテンポチェンジからしてもそうだけれど、全体的に結構凝った作りの曲で、「低気圧に流れたって〜」と「恥晒す生き方〜」という2種類のCメロを用意しているのなんて贅沢である。ただその分難しいというか、「あおっぱな」なんか2,3回聴いたらカラオケで大体歌えそうだったけれども、この曲はそうはいかない。
 ただ、どうでもいいようなことだけれども、一貫して自分の生き方について歌っているように見えるのに「Are You Gonna 〜」と、ここでだけ「you」が出て来るのはちょっと違和感がある。このフレーズ自体はレニー・クラヴィッツの同名曲(今もCMで使われていますね)をそのまま引っ張ってきたものと思うが、素直に「I'm Gonna 〜」とすれば良かったんじゃなかろうか。
 映像でも少し見たが、ダンスも曲のノリを活かす格好良いもののようだ。


2. ここにしかない景色
 出だしが素晴らしい。実はサビの頭を抜き出しただけなのだけれど、それが完全にオープニングとして自立しているのが立派である。
 全体的に編曲(この曲も大西省吾)がなかなか良くって、各楽器のバランスも私好みだし、2番後のギター・ソロ(大西自身の演奏か?)もメロディックで良い。その後のCメロの処理も、まあよくあるアレンジではあるが、ドラマチックで聴かせる。
 しかしメロディーがなあ。BメロとかCメロは結構好きなんだけれども(Cメロ良い)、Aメロとサビ、特にサビがダメだ。作者はA.F.R.Oなる人で、この人は「マイホーム」の作者だったと記憶するが(5/20補記、バンドだそうです)、この曲のサビって「マイホーム」と大方一緒じゃないかよ、と思われて仕方ない。まあ「マイホーム」割と好きだけどさ。歌詞のテーマも両者で多少似ているので、イメージの類似もある程度は仕方ない・・・とは思いません。
 そんなわけで曲としての評価は高くないのだが、それはそれとしてPVなどをチラっと見たところ、これはバンド曲のようであるが、そうすると、実はこの曲の1番Aメロは結構ピアノが効いているので、村上が多少は目立てるか? 期待したい。なおPVでの各人の使用機材についてはこちらへ。


3. This moment
 ウェブサイトで今回の新譜の曲目を見た時、正直に言えば「ださい曲名だな」と思った。いっそ「此時」の方が(これはこれであざとい感じがするけど)十倍いい。
 でも曲はいいです。メロディーは、特にサビが美しい。作者はnojo / 工藤勝洋。「雪をください」や「Dear...」の作者。
 また、この曲は「渇いた花」ばりに楽器の音がリッチに響いていて、聴いていて気持ち良い。編曲は山路一志という人。これまで関ジャニ∞の曲に関わっていたかどうか記憶にない。
 でも敢えて言えば、「あと一歩」という感じも否めない。現状だと「とても綺麗な曲だけど、どっかで聴いたことあるような感じもするな」という印象。つまり「非凡」に至っていない。
 やっぱり歌詞だな。「永遠なんて要らない」というのは「時間よ止まれ」と同じくらいありきたりだ。「今は泣かせておくれ」のような、ハッとさせるフレーズが足りない。メロディーも伴奏もいいのになあ、惜しい。でもアルバムの4曲目とかに入っていると良いアクセントになると思う。


4. myself
 この曲も「ださい曲名・・・」というのが聴く前の印象。でも、聴いてみると大した名曲でした。ちょっとスマップっぽいけどね。これは次のアルバムにも入れて欲しいなあ。
 なんとなく聴いていると普通のバラードのようだが、じっくり聴いてみると、このサビは素晴らしいよ。AメロBメロもいいけど。短いフレーズ(悲しみも♪に相当する5音)を何度も繰り返す構成であるこのサビは、あたかも寄せては返す波のように心に響く。繰り返しによって感動を煽るという点で、「I to U」に近い感覚である(あの曲のエンディングも最高だ)。
 また、歌詞もいい(この辺りも「This moment」とこの曲を隔てている点だと思う)。ださい曲名だと言っておいてナンだが、「悲しみも愛しさも強い想いもmyself」「温もりも泣き顔も記念日もmyself」というのは凄く良いフレーズではないか。内容自体はありきたりだが、言葉遣いが新鮮だ。歌詠みにおいて大事なのはソコだというのは、藤原定家も言っていることである。
 作者はZENという人。この人もこれ以前に関ジャニ∞と接点があったか知らない。
 編曲(久米康隆)も非常に良い。この編曲あってこその名曲と言ってもいい。1番が一貫して控えめな伴奏なのも良いし、その後の間奏で音がガーンと出て来たなと思ったら2番のAメロでまたスッと引く。でも2番全体としては1番よりも大分華やかな伴奏である。この辺りの対比も凄くいい。大サビもこの静と動の対比をバッチリ決めていて実に感動的。大サビは伴奏のコード進行が変わっていくのも(これも結構よくあるテではあるが)非常に効果的である。


5. 愛でした。("8EST"Remix)
 なんか街宣車から流れてきそうな感じだな、特に後半。リミックスすること自体はいいんだけれど、トランスみたいなのは個人的にはやめて頂きたい。