こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

ザッパ、カフカ、その他

 図書館でフランク・ザッパの『We're Only in It for the Money』を借りてきたら、最終曲の「The Chrome Plated Megaphone of Destiny」を聴く前に必ずカフカの「流刑地にて」を読んでおかなくてはいけない(聴きながら読むのではいけないそうだ)とブックレットにあるので、もう一度図書館に行って池内紀訳のものを借りてきた。この作品を読んだ上でこの曲を聴くと、確かに「効く」。村上春樹ねじまき鳥クロニクル』の拷問シーンと、『時計じかけのオレンジ』が連想された。

 その「流刑地にて」ついでに借りてきたのがレッド・ホット・チリ・ペッパーズの最新作『I'm with You』と『仮面ライダーソング&データファイル』。我ながら凄まじい取り合わせではある。
 レッチリの方は出た時(発売は去年)に買わなきゃなと思っていたのだが、シングルの「The Adventures of Rain Dance Maggie」がイマイチに思えたので手を出しかねていたのだが、聴いてみると一曲目の「Monarchy of Roses」(これもシングルになったらしいが)がめちゃくちゃ格好良いのでビックリした。三曲目の「Brendan's Death Song」(これもシングルだって・・・)には思わず涙。ネット上で「全然期待せずに聴いてみたらすごく良かった」という感想を見かけたが、正にそうであった。さっさと買っておけばよかった。ハチャメチャな感じはないが、普通の伴奏が物凄い説得力を持っているというところ(これはかのツェッペリンも然り)に「世界最強バンド」と呼ばれる所以がある。
 至高のギタリスト、ジョン・フルシアンテが脱退して代わりにジョシュ・クリングホッファーが加入し、実はマンネリ化傾向のメロディーに変化が起こるのではと期待していたのだが、意外とそうでもなかった。作曲の肝はアンソニー(またはフリー?)が握っていたということか。ジョシュはむしろハーモニーによる参加で新たな色合いを与えているように思われる。ギタリストとしてはまだちょっとよく分からない。この面子で「Give It Away」を演っている映像を見たが(ケルンでのライブ)、今一つ爆発不足だったような気がする(ジョンの頃の、ハイドパークでの演奏なんかは流石に凄いです。2006年に大阪ドームで観たけど、その時のこの曲も凄かった)。
 
 さて、レッチリも良いが仮面ライダーも良い。『仮面ライダーソング&データファイル』は初代からクウガまでを取り揃えたもののようだが(まだ全部聞いていない)、「レッツゴー!!ライダーキック」「仮面ライダーのうた」「戦え!仮面ライダーV3」という冒頭の3曲にもう、やられてしまいました。やっぱり腰を据えて聴かなきゃいかんです。
 「レッツゴー!!ライダーキック」が藤岡弘、でなく藤浩一(子門真人)なのが良い。藤岡弘、氏は敬愛すべき人物であるが(『仮面ライダー本郷猛の真実』は必読)、歌手としてはどうもな、と思う。
 それにしてもなんと心動かされるメロディーか。歌詞も過不足ない。編曲も素晴らしい。歌シメの「ライダー、ライダー♪」をユニゾンにしたのなんか、心憎いというほかない。この曲はイントロもめちゃくちゃ斬新でカッコイイのだが、CDだとバイクのエンジン音が入っていないのが実に惜しい。
 次ぐ「仮面ライダーのうた」(これはエンディングです)も素晴らしい。本当に抒情に満ちたメロディーです。改めて聴くと、「エンジンふかせー!」等々というセリフ、これでもかとばかりに力がこもっていますね。やけっぱちというか。しかも拍子と微妙に合っていないのが、これまた(何故か)格好良いです。ほんとに。
 この傑作2曲が1枚のシングル盤に収められていたかと思うと、鳥肌ものである。
 「戦え!仮面ライダーV3」、改めて聴いてみると「敵は地獄のデストロン」以下は1番から3番まで同じなんですね。様式美すら感じさせます。前2曲と較べると、より戦隊モノのテーマの典型っぽい感じがします。しかしこの歌、宮内洋とザ・スウィンガーズとのことですが、これはヘタウマと言っていいんですよね?(ちょっと不安だ。誰かに確認したい)(補記:宮内氏はV3役の俳優で本職の歌手ではなかった。納得)
 僕は不学にして知らなかったのですが、ライダーシリーズのテーマ曲ってずっと一人の人(菊池俊輔氏)が担当されていたんですね。作詞は石森氏がやったりやらなかったりしたようだ。それが仮面ライダーBLACKで変わって、しかも阿木燿子・宇崎竜童ペアに交替されていたというのには驚いた。山口百恵みたいだ。
 仮面ライダーと言えば我らが椎名慶治もAstronautsの一員として「Giant Step」という曲を歌っていたが……あの曲のイントロを聴いた時には、本当に絶句したものだった。後にミニアルバムに収録されたバージョンでは大分マトモになっていたが、それでも「レッツゴー!!ライダーキック」とは比較するのが失礼というレベルだと(椎名ファンとしては人後に落ちぬ僕でも)思います。椎名が作った曲ではないから仕方ないと言えば仕方ないのだが。

 そう言えばこの前、上野樹里のCM(保険会社だったか?)に歴代ライダーが勢揃いしていましたね(ライダーマン辺りまでの、こっちが思い入れある面子)。上野がライダーたちに家の警備を頼むという凄い内容で、「アマゾンさんには玄関を・・・」とか言って部屋の見取り図の上に懐かしの塩ビフィギュアを置いていくのが面白かった。よく出来たCMで、見るのが楽しみだった。