こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

丸谷才一氏逝去

 昨日13日朝に丸谷才一氏が亡くなったという。
 高校生の時に中島らもが死んだのを聞いて、好きな作家が死ぬとこんな気持ちがするものかと思ったものだが、僕にとってはそれに次ぐ二度目である。何がきっかけであったか記憶していないが、やはり高校生の頃に氏のエッセイ(和田誠挿絵)を色々と読むようになった。軽い筆致でありながら豊富な知識と考察に基づいている点は、友人であったらしい高島俊男氏と同様ながら、高島氏の表現が僕にはどうにも棘が強すぎるように思われたのに対して、丸谷氏の批評は鋭いものであってもあまり読者を圧迫せず、そこが良いと思った。
 エッセイを主に読んでいたが、『裏声で歌へ君が代』を読んだ時には大いに唸らされたし、『桜もさよならも日本語』などにおける日本語についての主張には影響されて、一時期は自分でも歴史的仮名遣いを使っていたほどである。その後、丸谷氏の主張には必ずしも同調しないようになったが、日本語及び日本語史に関心を持つように導いてくれた恩人の一人であると思う。
 去年、北杜夫氏が亡くなったと知って実は「丸谷才一も長くないのでは…」と思っていたのだが、ほぼちょうど一年後の訃報となった。
 御冥福をお祈りします。