こんなんだったっけ日記

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『ジャム』感想(前提篇)

 「関ジャム」の放送が100回を超えたそうである。ということは3年目に入っているということか。早いなあ。一時は構成が本当につまらなくて、このブログでも愚痴ったことがあったが、いつの間にか非常に良くなっていた。よくぞここまで改善されたものだと、大慶の至りである。
 改善の要因は、簡単に言えば「ゲスト焦点」型から「コンテンツ焦点」型へと移行したことにあるだろう。初期の関ジャムでは、一緒にジャムをするゲストが基礎にあって、トーク部分はその副産物というか、「そのゲストに関して何かしら話を引き出せば成立するだろう」というスタンス(日本の歌番組でよくあるスタンスだ)であったために、そのゲストのファン以外には全く面白みのないものとなっていた。
 それがテコ入れの結果、トーク部分のコンテンツの主題を毎回明確にする(例えばギター・振り付け・編曲・コードの仕組みなど)ことで、ぐっと見応えのあるものになった。ジャム部分でのゲストが、トーク部分には全く出演していないという回があるのは、この転換の分かり易い現れと言えるだろう。
 先日の100回記念放送は、こうした趣旨を前面に出した、関ジャニ∞の新作アルバム『ジャム』の制作現場に焦点を当てたものだった。いやー、これは面白かった。ジャニーズ主演のバラエティ番組でこんなことができるのか、と。関ジャニ∞のファンに限らず、音楽(特に音楽制作)に関心のある方には実に興味深いものだったと言えよう。思わず釘付けになってしまった。まず、現在ではともするとその存在意義を疑われがちな「アルバム」というものに焦点を当てているのが刺激的だったし、その(ごく一部とはいえ)制作スケジュールを事細かに追っているのにも目を引かれた。それにしても思ったよりもずっとギリギリのスケジュールでやっているのにはびっくりした。6月に出るアルバム収録曲の作詞オファーを4月に出すとかね。作曲/編曲者がレコーディング・エンジニアの候補も指示するなんてのも興味深かった。
 また、「関ジャム」はジャム部分も以前より面白みが増しているように思う。少し前のギタリスト特集の回での演奏(ボウイの「マリオネット」)では、丸山がベーシストとしての役割を完璧に果たしているので驚いてしまった。使用楽器も、最初の方は新しい機材が出てくる度に調べたりしていたが、どんどん新しいものが出てくるもんで、最近はもう完全に放棄してしまっている。丸山がこのところ弾いている黒いベース、ヤマハのBBのようにも見えるがちょっと違うようでもあり、詳細が気になる。
 そんなこんなで「関ジャム」、これからもこの調子で頑張っていってほしいものである。


 さて前置きが長くなったが『ジャム』に話を進める。新しいアルバムに上記の「関ジャム」がどのように影響するか、というのは皆が多かれ少なかれ考えていたところと思うが、ここまで直球のタイトルにしてくるとは思わなかった。また、音楽に直接関係する語をタイトルに持ってくるのも『JUKE BOX』以来(もう4年前か『JUKE BOX』・・・)ということで、その点でも期待が膨らんだ。
 ジャケットは「ジャム」の別イメージとして、果実を大写しにしたもの。シルク・スクリーンっぽい粗い処理と相まって、アンディ・ウォーホルを強烈に意識したものとなっている(そう言えば「がむしゃら行進曲」のジャケットもちょっとウォーホルっぽかった)。ジャケットは前々作・前作とも「ちょっとどうか・・・」という感じだったので、今回は嬉しい。ただ個人的には通常盤の、果実が並んだデザインよりは、限定盤の一つの果実に絞ったデザインの方が好みではある(そうするともっとウォーホルのバナナっぽくなるんだけど)。
 また、今回驚かされたのは、通常盤と限定盤の「棲み分け」に大きな変更があったことだ。これまでは、通常盤は本編CDプラスおまけCD(ソロ・ユニット曲)で、限定盤は本編CDプラスDVD、というのがそれぞれの仕様だった。よって私のように「とりあえず音楽が聴ければいい、映像はなくても構わない」という考えのファンは迷わず通常盤を買っていれば良かったのである。
 ところが、今回初めて「通常盤・限定盤A・限定盤Bで、本編CDの中身に全て違いがある」という仕様が採用された。より具体的に言えば、1〜12曲目までは上記3パターンで共通だが、通常盤の13〜15曲目、限定盤Aの13曲目、限定盤Bの13曲目は全て別曲となっている。これは要するに、「ボーナストラックの中身が盤タイプごとに異なる」とまとめられよう。となると、「音源だけ漏れなく手に入れば良い」と考えているファンも、上記3仕様を全て入手することが必要になったわけである。
 というわけで、私としては「こんな暴挙があるかっ! 儲け第一主義の腐れ外道めっ!」とめちゃめちゃ怒っているのであるが、考えてみたら(たぶん)大方のエイターはこれまでも全部の仕様を買ってきたわけで、その点、今回の仕様変更は購買計画に何も影響を及ぼさない。だから全然怒ってないかもしれませんね。逆に言えば今回の仕様変更は「今まで通常盤しか買ってくれなかった人にも限定盤を買わせよう」という意図があるわけだ。本当に腹立たしいね。意地でも買うもんかよ限定盤。


 さて、それはそれとして中身に入ろう・・・と思ったが、ここまでで既に随分紙幅を取ったので、続きは別記事にて。

ジャム(通常盤)

ジャム(通常盤)