こんなんだったっけ日記

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『関ジャニ∞の元気が出るCD!!』感想(各論編・A面)

 「スペアキー」までを勝手にアナログA面と見なして書いております。


1. High Spirits

 なんか彼らの昔のDVDみたいな題名の曲である。

 Peach作のインストだということを知っているだけで、演奏者については全く確認しないままで「おっ、良い感じだな」と聴き始めたのだが、間もなく、これはメンバー自身の演奏らしいと気付いた・・・まあハッキリ言えば冒頭のギターがちょっと下手だ(リズムが怪しい)から気付いたわけであるが。左側から聞こえてくるこのギター、音色から言ってもフレーズから言ってもリズムの怪しさから言っても、錦戸でしょう。ということは右側で鳴ってるのは安田か。途中でトレモロピッキングでライトハンドっぽいフレーズを弾いてるのなんか、なるほどそれっぽい。

 重要なのは所々音数が減るところですね。つまり全員ではなく数人が演奏している、という場面が所々ある。ここはアンサンブルという意味でも、それからビジュアル的にも、ライブでは超魅力的なはずなので、観に行く人は刮目すべし。

 さて、インストで始まるアルバムと言えば『∞UPPERS』をどうしても思い出してしまうが、あの作品におけるインストは言わば「本作はコンセプチュアルなものである」ということの意思表示であったのに対して、本作のこの曲には特に意味はない、と思う。ただ「今の俺たちにとってはこういうことをするのが楽しい」ということであろう。それが嬉しいわけだが。深読みすれば、前作に失望したファンへの詫び状代わりの一発であるとも取れる。


2. 勝手に仕上がれ

 本作最重要曲の一つ。音楽ファンとしてのエイターは、前曲のメンバー演奏に感激した人が多いと思うが、そして私も勿論嬉しかったけれども、それよりも感激したのがこの曲の「ニーニニニー・・・」というコーラスが聞こえてきた時だった。この意味不明のコーラスが高らかに鳴り響いた時に、私は本作が「いいアルバム」になることを確信した。こういう大らかで且つロックな感触をド頭(2曲目だけど)に持ってくるなんて、楽しいアルバムに決まってるじゃないか。Aメロに入ったところで一旦伴奏を殆ど落としてしまうのも、アルバム序盤としては挑戦的だ。そのAメロ、コード1個でテンションを上下させて攻めてくるムードも大いに好み。

 ベース・ソロを含め、細かい点で気持ち良いフレーズが沢山詰まっているが、いちいち挙げない。とにかく格好良い曲である。しかもキメキメの格好良さというよりも(そういう部分もあるが)、適度にユルいというのがこれまでの関ジャニ∞のロック・チューンと較べて目新しく感じられる点だと思う。

 ライブではやはり前曲からこの曲という流れがオープニングになるのだろうなあ。これはDVD買わなくっちゃ・・・。

 ところでこの「勝手に仕上がれ」という曲名、言うまでもなく「勝手にしやがれ」のもじりであるワケだが、この「勝手にしやがれ」という元ネタがクセもので、映画の邦題をはじめとして、曲名、アルバム名、果てはバンド名になっていて、人によって何を想起するかが異なるわけだが(私は勿論ジュリーですが)、まあこのアルバムを聴く層で想起する人が最も多いのは「嵐にしやがれ」だろうね、間違いなく。

 今まで歌詞をちゃんと聴いていなかったんだけど、Aメロ冒頭は「今夜もステージの上から夢の押し売りって?」なんですね。楽曲提供されたのを良いことにこんなフレーズを出してくるOKAMOTO'Sもかなりのモノだが、それを採用しちゃう関ジャニ∞側も相当なもんだ。素晴らしい。
 でもBメロの「拍手浴びせてくれ ただでさえみんなが帰る姿見なくて済むように」というくだりの論理関係が何回聴いても判らないんだけど、どういうことなんだろうか。


3. がむしゃら行進曲

 シングル曲。結局これ買わなかったんだよな。曲はなかなか良かったしジャケットもすごく良かったんだけど、カップリングが詰まらなかったので「アルバムまで待てばいいや」と思って買い控えたのだった。正解でした。こうしてアルバムの中で聴いてみると実に生き生きとして聞こえます。こんなに演奏のテンションが高い曲だったんだね。歩きながら聴いているとステップを踏みたくなります。


4. 韻踏ィニティ

 前々作で「Sorry sorry love」、前作で「Masterpiece」と、似たような感じの打ち込み主体ダンスナンバーを提供したSHITAKAの作ということで、また打ち込みなのだが、これはまあロック・ファンにも受け容れられやすいと思う。私も、アルバムの4曲目としてなら、なかなか悪くないと思う。引き延ばさずにシンプルに終わらせている点も評価できる。

 ただ、所々に織り込まれた和風のフレーズがヤンキーを想起させて(「キングオブ男!」のせいもあってか)、ちょっとしんどい。

 タイトルからすると色々押韻しているのであろうが、歌詞カードを見ていないので判らない。いや、今ざっと見たけど全然頭に入ってこなかった。あとコーラス終わりの「俺等無敵のまーんまーん♪」って何なんだ?とずっと思っていたのだが、こちらも今確認したら、「まんまん」じゃなくって「まんま」だったのか。まあ、まんまんじゃあおかしいよな。


5. バリンタン

 お〜、いいなあ、と思ってクレジットを見たらメンバー自作曲なので驚いた。こう来たか安田章大! 前作の「ゆ」は、なんか納得できない出来だったので、挽回してくれて嬉しい。

 非常に古典的なロックンロールの形式に則っている。普段なら「よく出来ているが新規性がない」とか言い捨てるところだが、この曲については「新規性がどうした!」という気分だ。いいじゃないか楽しければ、と思わせるのがロックンロールの偉大さである。尤も流石にジャニーズだけあって間奏の処理なんかは気が利いている。

 村上による歌詞も意外に良い。タンバリンというのは「簡単な楽器」の代表として嘲り気味に語られることもあるが、ロックンロールにおいて非常に重要な役割を担っていることは、音楽好きの人なら、特にバンド経験のある人ならば誰もが感じていることだと思う。要するに歌詞のテーマと曲調とがきっちり対応しているのである。

 この曲はライブでは、バンド形式にブラス隊を添えた形で演ってほしいなあと思うが、「急☆上☆Show!!」式に全員でタンバリン持って歌うという在り方の方が有力な気がする。

 ところで、錦戸の「アレ? 忘れていたーよ」という部分の歌唱、これで良かったのかな。聴く度に違和感あるんだけど。印象に残っているからコレはコレで正解なのか。


6. 強く 強く 強く

 シングル曲2曲目。これは買いました。前も書いたけど、これはバンド曲だということを念頭に置いて聴くと一層よく聞こえます。オクターブでハモったBメロが良い。


7. スペアキー

 良い曲だ。でもこういう良い曲って既にJポップに掃いて捨てるほどあるんだよな、という点に尽きる。ピアノ主体の1番を聴いている内に、「ああ、これって2番になってドラムとかベースが入ってくるパターンだろうな」と、音楽に詳しくない人にさえ予想が付いてしまうだろう。

 こういう壮大な感じのバラードって本当にありふれているから、心ある音楽ファンを振り向かせるにはアレンジかメロディーか歌詞か、どこかで捻りを入れないと無理がある。この曲の場合、アレンジとメロディーには全然それが感じられないので、スペアキーに関する実体験がある人でないと感動は出来ないのではないか、と思う。音楽の受容量が少ない中高生とかは知らんけれども。

 ところで、(これは言いがかりみたいなものかも知れないけど)今スペアキーと書いたけれども、私の言語感覚では「スペアキー」と言えば車なんかのモノで、部屋の場合は「合鍵」と言うんじゃないかな。恋人から「スペアキー」か「合鍵」を貰うんだったら、絶対「合鍵」の方がいいなあ。私の感覚が古いだけかしらん。