こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

旺福来日之記2015(前半)

 私的「来日したら絶対観に行く外タレ」リストの堂々トップを飾っている旺福。前回は『わんだふう』日本盤発売に合わせて2013年の11月に来たそうであるが、残念なことにこの時はまだ僕は旺福のワの字も知らなかった。この時にはザ・キャプテンズと対バンしたんだってよ。そんなの観たら傷彦様じゃなくても失神しちゃうよ。本当に臍を噛む思いだ。
 さあさて。夏に出た新作アルバムの日本盤が11月に日本でも出ると知り、いよいよ来日公演あるかと思っていた頃合の同月10日、何気なくヤフーのリアルタイム検索に「旺福」と入れてみるとなんと2本のライブ及び1本のインストア・イベントが既に決定していてチケットも販売中とのこと! みんな一体どこで知ったのだろう。フェイスブックこまめに見ていたが、全然書いてなかったぞ。まあ中国語殆ど読めないので気付かなかっただけかも知れんけど。
 発表された公演等の予定は次の如し。
11月28日(土)夕:The Bohemians, The Highと対バン@新宿Red Cloth
11月29日(日)昼:トークショー&サイン会@渋谷HMV&BOOKS TOKYO
       夕:ライブ(前座:Peggy Hsu(許哲珮))@代々木Zher the Zoo
 とにかくこれを知った日にあたふたと28日と29日のチケットをローチケで押さえた。各3000円。まあまあリーズナブルである。29日は結構大事な用事があったのだが相手に謝ってこちらを優先させてもらった。何しろこっちは台湾から来てくれるお客様なのだ。
 上記のように、28日は対バンで29日はほぼワンマンなので、29日さえ行けば充分という考えもないではなかったが、やはり観られる機会に充分堪能したいし、28日だけ演る曲なんてものがあったらまた臍を噛むことになる(結果的に、1曲のみながらこの予想は的中した)。
 遂に旺福が観られる! 2013年の、11年振りのポール・マッカートニー来日決定の時に近いワクワクを感じていた。しかもハコは相当小さめだから(レッドクロスは行ったことないけど、ザーザズーは今年の正月にムッシュキャプテンズの対バンを観に行った)、かなり近くで観られるに違いない。
 

 さて28日。午後4時過ぎに仕事を終えて新宿三丁目駅へ向かい、印刷してきた地図を頼りにレッドクロスへ向かう。新宿三丁目駅はロックインやディスクユニオンへ行くのに何度か利用したことがあるが、出口が沢山あるので未だに移動が覚束ない。スマートフォンを持っていないので予め目的地への地図を印刷して、それを目で追いながら歩くことになる。今回もそうして早足で歩いていると、以前に一回来たことがある×××の脇を通り過ぎた。「なるほどこの辺りか」と得心。次からは地図なしで来られそう。地下にある中華風の趣あるライブハウスである。ネットではキャパは約200とあったが、もっと入ってたんじゃないかな。
 18時開場・18時半開演。端っこで加藤ひさし氏がDJをしていた。知っている曲はあまりなかったけど、僕が入場した時にはROLLYのカバーと覚しき「キャンディ・キャンディ」が流れていた(補記:調べたら加藤氏との21st Century Stars名義だそうである。このバンドは四人囃子「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」のカバーが印象深い。

超格好良いですね。1996年。「サマータイム・ブルーズ」も演ってた気がするけど記憶違いかな)。あとキンクス「ウォータールー・サンセット」のカバーなんかは面白かったな。ザ・フーの「Won't get fooled again」の後半で加藤氏共々フロアが盛り上がったのも楽しかった。いいよなこの曲(また余談になるけど、この曲の邦題は「俺達はしないよ」だと思っていたのだが、「無法の世界」だった。『トミー』の最後に入っている「We're not gonna take it」と勘違いしていた。『トミー』ってあんまり聴いていないんだけど、邦題だけ印象に残っていたのか。因みに「無法の世界」は『フーズ・ネクスト』の最後の曲)。
 ところで、いつもライブハウス等に来る度に痛感するのだが、煙草を喫う人って結構いるんですね。普段の暮らしで、周りの人が非喫煙者ばかりなので、かなり異様な感じがする。しかも、通路とかでなくフロアですぱすぱ喫っているので驚いた。こんなライブハウス観たことない(と思ったら翌日行ったザーザズーもそうだった)。一応みんな煙草を持つ手を高く上げて他人に当たらないように気を配っているようではあったが、フロアは満員で、ちょっと手が滑ったら簡単に横の人に当たる距離だ。そこまでして喫いたいもんかね、とつい思ってしまう。こういう小さなライブハウスに分煙という観念が根付くのはまだ相当先のことだろう。
 閑話休題。開演時間を少し過ぎたところでトップバッターの旺福が登場! 遂に見たり!という感じ。小民は白地に薄緑の植物の柄が入ったスーツ、TwiggyとMamiはモノトーンの服(女性の服の名前に全く無知なのでこれ以上書けない。Mamiは袖無しだった)、肚皮は『Help!』の4人が柄に入った白いYシャツを来ていた。楽器は、小民はバタースコッチブロンドのテレキャスターフェンダーかどうかは見えず)(補記:Mamiがこのモデルのギターを持っている写真がネット上にあります。これを借りたのかな。ただ、よくあるモデルなので、同一のものかは自信なし)。小民がこれを使っているのは見たことがないので、ひょっとしたら借り物か。ストラップは見慣れた虹柄だった。Twiggyはサンバーストのジャズベ。これは自前かな。Mamiは赤のグレコBG-1400。これも自前だろう。
 40分ほどのセットで、曲目は大凡次の通りだったように思う(*印は日本語詞バージョン)。

オツカレサマデシタ *
愛洗蝦米 *
阿爸我要当歌星
我夏流 *
媽媽我不要載眼鏡 *
印倫情人
塞車恰恰 *
迷你裙

 全体的な印象としては、やはり上記のように「あの旺福がついに目の前に!」という感じ。遂に小民の「イヤッフー!!」を生で聞いたぞ、と。
 この一年半に沢山聴いた曲を、この一年半に沢山写真や映像で観たあの人たちが目の前で演奏している!という感動である。ある意味、日本人が1964年にビートルズを知って、1966年夏に武道館で観た、というのとそう変わらないかも知れない。あと、YouTubeで観ると旺福のライブ演奏は正直安定性に欠く場合が時折あるなあと感じていたのだが、実際に観てみると(日本語詞を歌うのはやはりちょっと辛そうだったが)演奏面での不安というのは殆ど感じなかった。よって非常にハッピーな気分で観られました。
 1曲目は、確かコータロー&ザ・ビザールメンとのスプリット盤に入っている曲だが、これまだ買ってないんだ実は。でもYouTubeでライブ映像を観たことがあったので何となくは知っていた。その後はいずれもよくよく知っている曲。新譜から主に演るのかなと思っていたので、「愛洗蝦米」はともかく「媽媽我不要載眼鏡」「印倫情人」「迷你裙」辺りは驚かされた。特に「印倫情人」は好きな曲で、ちょっとベースを練習していたので嬉しかったなあ。自ずとTwiggyに注目してしまうのだが、なんと間奏でスタジオ版にはないインドっぽいフレーズを弾いているので驚いてしまった。YouTubeで見直すとライブでは昔からやっているようだが、気付かなかったなあ。
 「塞車恰恰」の日本語版(作詞は勿論加藤ひさし)は、原詞の意味を確認していないので原詞にどれほど忠実なのかも判らないのだが(補記:さっき中国人の友人に確認したところ、全ッ然忠実でないことが判明)、言葉遣いが面白くって良いと思った。「私はアナタのおもちゃのチャチャチャ」とか、原詞を見るまでもなく加藤氏のオリジナルだと判るが、曲調の楽しさとぴったり合っていて素晴らしい。
 最後が「迷你裙」というのも、定番なのかどうか知らないが、初めて旺福を観る身としてはなんか嬉しかったなあ。


 旺福が終わったところでまあ、目的は果したわけだが、折角3000円払ってあるので次のThe BohemiansとThe Highも観ていく。ボヘミアンズは前日にYouTubeで比較的新しい曲を幾つか観て予習してあった。その際「SUPER THUNDER ELEGANT SECRET BIG MACHINE」という曲が、サビのタイトルコールが凄く格好良いなと思ったので演ってくれて良かった。ライブは見た目の動きが大きくて楽しめた。ちょっと伴奏がうるさくてボーカルの通りが若干悪かったのが少し残念だが。名前しか知らないバンドだったがもう10年選手だそうである。ギタリストが胸に大きな肖像付きの円盤を付けていたけど、あれは誰の写真だったのだろう。遠目にはピート・タウンゼンドに見えたが。ボーカルの人は、挙動や話し方から忌野清志郎に影響を受けていることが窺われた。いい人っぽいMCに好感。しかしスパイダースの「フリフリ」を演ったのには驚いた。
 続いて主催者のThe High。ベースが青いリッケン4003、ギターが赤い300某(バーストでなく単色)という、イカした取り合わせであった。ザ・ジャムってことなのかな。結成3年!というので「え、そんなに若いの?」と驚く。よく見るとベースはRama Amoebaのひとだった。こちらは予習しそこねたので曲はあんまり覚えていないが、楽器隊が3人だけなのに凄くグルーヴィーで重さがあって、自分のバンドの参考にしたいものだなーと思いながら観ていた。
 最後にアンコール。煙草の煙に苦しみつつも、バドワイザーを飲みながら観る。今度はThe Highが「フリフリ」を演奏。ボヘミアンズのボーカルも途中で参加。その後で、小民!も参加してなんとビートルズの「I saw her standing there」、次いでマーサ&ザ・ヴァンデラスの(というか、フーやジャムの)「(Love is like a)Heatwave」が演奏されて幕引き。小民もちょっとだけだけど歌ってました。「Heatwave」はThe highのhirono氏に「永遠のモッズナンバー」として紹介されていた。偶然、今自分のバンドでも取り組んでいる曲なんだけど、そんな有名な曲だったんだこれ。
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