こんなんだったっけ日記

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オールディーズ(Oldie)

 『レコード・コレクターズ』誌12月号の特集はザ・ビートルズ『Live at the BBC』。この度発売された第2集と併せて、1994年発売の第1集についても扱っている。ビートルズBBCでのレコーディング記録を網羅した記事もあり、非常に興味深い。
 本秀康の「レコスケくん」(絵の可愛さに似つかわしからぬ理屈っぽいマンガである)でも当然この『Live at the BBC』が取り上げられているのだが、そこで「Don't Ever Change」(第1集の2枚目に収録)のMCでジョージがこの曲を「Oldie」と呼んでいることについて、1963年に既にオールディーズという言葉があったことと、前年の62年に発表された曲をオールディーズと呼んでいることに驚くと語っているが、これを読んで「あれ、そう言えば『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!(The Beatles at the Hollywood Bowl)』でジョンが「Oldie」という言葉を使っていたような・・・」と思い、聴き直してみると、「She Loves You」を演る前に次のように述べている。
  ... the next song we're gonna sing is an oldie, some of you, older people might remember, ...
 これは1964年の8月23日のコンサートの録音だそうで、奇しくも「She Loves You」の英国での発売日は1963年の8月23日である。ちょうど1年前に出たばかりの、しかも自分たち自身の楽曲を「Oldie」と呼んでいるのは、いかにもジョンらしいという感じがする。まあ上の「Don't Ever Change」(1963年8月1日録音)より1年下る「用例」ではあるが、気付いたので一応挙げた次第。
 なお『Revolver』辺りまでの楽曲を収めた公式コンピ『Oldies』は1966年12月発売。


 ところでこの『Live at the BBC!』、第1集と第2集をまとめたもの(第1集は新たにリマスター済)が5500円で売っていたので(輸入盤。国内盤だと1000円ほど高くなる)それを買ったのだが、これは2009年の諸アルバムのリマスターと同様、ミ紙ジャケ・パッケージ(というのは私の造語だが)になっていて、CD4枚を収める割にはかなりスッキリした見栄えである。上の「レコスケくん」でもこっそり示されているが、第1集はもともとプラケースで、御記憶の方も多いと思いますが、90年代の2枚組CDのプラケースというのは非常に幅があった(ホワイト・アルバムもそうでしたね)。セミ紙ジャケはプラケースよりも薄いし、紙ジャケのように高さがプラケースと違わないしで、なかなか良い趣向だと思う。
 あと、今回新たにリマスターし直した第1集の方だが、元々はセピア色の写真だったのだが、今回はグレーのモノクロになっている。どうしてだろ。
 収められたブックレットを見ていると、ジョンが眼鏡を掛けた写真が幾つか目に入る。一般にジョンの眼鏡として知られる、縁なし・鼻パッドなしのやつ(あれは保健所かどっかが配給した奴だそうな)ではなく、レンズが四角で、黒縁のもの。この眼鏡を掛けてステージに立っている写真もある(本番でなくリハかも知れないが)。これはやっぱり、バディ・ホリーなのだろうなあ。


 なお本作の内容については、個人的には結構楽しめたし(ベース音が比較的明瞭なテイクで「You Can't Do That」が聴けるのは嬉しい。同じくベースが目立った「This Boy」も聴きもの。鍵盤抜きの「Money」も面白い、等々)、第1集に較べるとオリジナル・アルバムに収録されたナンバーが結構多い(特に2枚目)と言うことで、さほどコアでないファンにも比較的取っ付き易いかとは思われるのだが、構成から言っても演奏の熱量から言っても、「ビートルズのライヴ盤」ということではコレよりもまず上記の『スーパー・ライヴ!』だろう、やはり。

LIVE AT THE BBC

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