ジョン・レノン・ミュージアムに行った。一昨日のこと。昨日が閉館日で、この日の方が何かイベントなんかもあったのかも知れないが、用事もあったし、混むだろうとも思って閉館前日に出向いたのである。それでも流石に結構人は入っていたが。
丸の内線で池袋へ。そこからJRに乗り換えて、埼京線で赤羽、次いで高崎線でさいたま新都心(・・・)へ。380円。片道四十五分くらい。読み物は金文京という方の『漢文と東アジア』(岩波新書)。
さいたま新都心(・・・)駅を出ると、色々なものが大きくバーンと聳えている。京都では全く目にすることの無い光景だし、東京も全然観光していないので、こういうのは非現実的な感じがする。それはそうと埼玉県に来たのは初めてかも知れない。
ミュージアムは思ったよりしっかりした作りで、当たり前だが「ジョン・レノン展」ではなく「ジョン・レノン・ミュージアム」なのだと実感。最初に見せられたショート・フィルム(十年使い回してきたのだろう)はしょぼかったけど。しょぼいというのは映像がというよりも内容構成がだが。
ジョン・レノンの一生を知ろう、というような気はこちらにはさして無いのであって、ただ珍しいものが見たかったということなのだが、その意味でやっぱり一番感激したのはギターである。ビートルズファンは誰しも言うだろうが、あのリッケンバッカー325。塗装を剥がしたやつも良かったけどその後にジェットグロー(要するに、黒)のがでーんと現れて。あれはもう信仰の対象にもなりそうな。普段ストラトが欲しいとかダンエレクトロが欲しいとか、そもそも僕はポール派であるのだが、そんなこと言っててもこのジェットグローのリッケン325を目にしている時は、これこそが世界で最もカッコイイものだと思えるのである。例の、演奏曲のメモが貼ってあるというのもバッチリ確認した。しかしこんな伝説的なものを埼玉なんかに(失敬)置いていていいのか。まあ、フフンどうだザマミロ大英博物館、という気もしないでは無いが。今後どこに行くのだろう。洋子さんが持つよりはみんなが見られるトコに置いたほうがいいと思うが。やっぱりリバプールかな。
他にも、服とか歌詞のメモとか、「これをジョン・レノンが着たのか・・・」「これを書いたのか・・・」という、要するに他のヒトたちと全く同じようにミーハーな気分に浸った。最後の方にあった白いピアノ(案の定というか、スタインウェイだった)、あれは本物だったのかしらん。
展示ボードなんかはあんまり興味を惹かれなかったのだが、ただ最初に掲げてあった、昔のリバプールの大地図に、ここがジョンの生家で、ここが教会で、ここがポールの生家で、ジョージの家で・・・なんていう位置関係が示してあるのを見ると、みんなこんな近距離にいたのかと驚いた。あと今更なのだが、リンゴもリバプールっ子だったのだね。手垢の付きまくった言葉ではあるが、やはり奇跡と言いたくなる。
「イマジン」の制作過程を撮ったビデオが流されていて、フィル・スペクターとかニッキー・ホプキンスとか出て来て面白かったのだが、ヨーコさんが結構口を出してくる。メロディーをユニゾンじゃなくってオクターブ違いで重ねろとか。それで、当然ジョンもそれを聞いてやるわけだが、後で「メロディーを重ねる。ユニゾンで」とか言うのが面白かった。と言うとヨーコさんが嫌いみたいだが。そういうわけじゃないけど。
最後にファイナル・スペース(だったと思う)というのがあって、大きな白壁とガラス板にジョンのメッセージ(歌詞の引用)が幾つも載っているというもの。メモを取っている人が居た。僕も勿論見てみたが、なんか説教くさいものが多くてどうも。「ぼくはたまごおとこ、あいつらたまごおとこ、ぼくはせいうち、ぐぐっぐじゅー」とか書いてあったら食い入るように見たと思うんだけど。それは冗談にしても、例えば「兵士になりたくない」とかね、そういうやつの方が良かったと思う。「お母さん、僕はあなたのものだったけど、あなたは僕のものじゃなかった」とか。文学的見地から言えば。しかし遠藤ミチロウかと思うか。
ミュージアムを出ると物販だ。今思えばCD,DVDの類が全然売ってなかったようだけれど何故なのか。結構致命的だと思うが。
ポールに較べるとジョンのソロ作は聴いていないものが結構ある。展示を見てニューヨークのライブ盤を聴いてみたいと思った。