こんなんだったっけ日記

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桐壷(一)

 「桐壷」。冒頭から新大系の句切りで9まで読んだ(「〜といそぎまゐる」迄)。まあこの辺りはもうよく知っているから割とつっかえずに読めるけれども、大方は一日に5,6頁くらいの、亀の歩みで行きたいと思っている。
 さて、この帖(どうして帖と呼ぶのだろう。折本だったのか?)を読む度にいつも思うが、例の「ここかしこの道にあやしき態をしつつ」というのは汚物を撒き散らすことだというのは、どれくらい確かなのだろうか。無邪気すぎるだろう。邪気が有りすぎると言うべきか。脚注よると「裳のひっかかるしかけ」をしたという説もあるとのことだが。どっちもどっちだけれども。
 あと、これもいつも思うけれども、帝の対応とか態度とかが、嫌なんだ。桐壷さんがもう弱っちゃっているのに、なかなか里に帰してやらない(かなりしつっこい)ところとか。悪気は無いのだろうが。あと、桐壷さんが死んでしまった後に、「世にいささかも人の心を曲げたることはあらじと思ふを、ただこの人のゆゑにてあまたさるまじき人のうらみを負いし果て果ては、かう打ち捨てられて心収めむ方なき」っていうのも、なんなのだ、完全に被害者気取りではないか(この辺りの感覚は息子がすっかり受け継ぐことになる)。桐壷さんが悪いみたいじゃないか。しかも娘の死後にこれを(靱負の命婦を通じて)聞かされるんだからお母さんも気の毒である。
 ところで私はこの靱負さんが結構好きである。なんとなくよく出来た大人のヒトという感じがする。この人が桐壷さんの母を訪れるところも緊張感があって良いシーンだ。

 しかし今更ながら、源氏物語というのは暗いところから始まるんですね。そこから一気に華やかになるわけだ。