こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

「チャン・ギハと顔たち」来日公演に行ってきた(5)

 (4)からの続き。

 立て続けのアップテンポ曲を仕上げ、MC。「デビューした頃には、こんなに何度も日本に来られるとは思っていなかった」という話から、「デビューシングルと第1集から一曲ずつ」とアナウンス。となると当然この2曲である。


19. 싸구려 커피(1)


[EBS 스페이스 공감] 미방송 영상 장기하와 얼굴들 - 싸구려 커피


20. 달이 차오른다, 가자(1)


1集収録曲(2集活動時の演奏)チャン・ギハと顔たち(장기하와 얼굴들) - 満月だ、行こう【Korean Psychedelic Rock】


 どちらも代表曲なので(物販には「달이 차오른다, 가자」をモチーフにしたトレーナーだかパーカーだかも売られていた)自然な選曲ではあるのだが、個人的には1集からだと他の曲をやってほしかったなあとも。しかしデビュー当時の彼らと今の彼らとの変化(単純にビジュアル面だけでも)を思うと、なかなかに感慨深いものがあった。あと「달이 차오른다, 가자」については、アルバムで聴くとフォーク・ロックっぽいイメージがあったのだが、ライブで観てみるとディスコっぽい・・・とまではいかないが、意外にダンス・ミュージック的な趣があるなあと感じたのが個人的には発見だった。

 再びMC。ここでメンバーそれぞれから日本語で挨拶があった。みんな予め作ってあった文面をスマホに映して読み上げていた(と言っても彼らは日本語が話せないわけではない。私は終演後、ドリンクバーでジュンヨプが日本語で飲み物を注文しているところを目撃した)。この挨拶が、メンバーそれぞれの個性が現れていてとても良かった。ジュンヨプは「元々はゲームで日本語を学びました。しかしその後は上達しませんでした...」と、穏やかな感じで話しつつも笑わせ、ジョンミンは「みなさま風邪など引かれませぬよう...」と異様な丁寧さでこれまた笑わせ、イルジュンは「今までありがとう。みんな愛してます!」と、いかにもテキトーに作ったっぽいところが「末っ子感」が出ていて愛らしく、ミンギも「今までありがとー!」と高いテンションで持っていくタイプ、で長谷川陽平は...長谷川さんは何を話していたか忘れたが、とにかくそういう感じで、各人の個性が見えるMCを見ていると「やっぱり良いバンドだよなあ」としみじみ思った。ギハの目も明らかに潤んでいた。
 ところがギハ曰く「次で最後だと思ったら、もう一曲あった」とのことで、しかもそれに対して長谷川氏が「これが一番大事な曲なのに」という見逃せないコメント。それがこの曲。


21. 그건 니 생각이고(5)


유희열의 스케치북 - 장기하와 얼굴들 - 그건 니 생각이고 20181116


 これはバンドを締め括って次のステージに向かうのに相応しい曲だ。
 それから少し挨拶を挟んで、本編最後はこの曲。


22. 사람의 마음(3)


3集収録曲(3集活動時の初演奏)チャン・ギハと顔たち장기하와 얼굴들 人の心【Korean Psychedelic Rock】


 予想していなかった曲だが、「家に帰ろう」という歌詞は確かにライブの最後に相応しいものだ。
 この曲がギハのアカペラで終わり、一旦退場。しかし当然それに被さるようにアンコールがかかる。このコールが「アンコール!」ではなく「エンコル!(앵콜)」なのがまた面白かった。

 殆ど待たせずに再入場。ドラムが叩き始めたところで「あの曲か!」と気付く。


エンコル01. 그렇고 그런 사이(2)


2集収録曲(2集活動時初出演の演奏)チャン・ギハと顔たち(장기하와 얼굴들) - そういう仲だから【Korean Psychedelic Rock】


 どことなくヒカシューっぽいキッチュな曲だが、これが代表曲というのも面白い。これは終盤にドラムが叩きまくりベースも弾きまくるので、それを眼前に見られたのが楽しかった。
 少しMCがあって、最後の曲。


エンコル02. 별일 없이 산다(1)


チャン・ギハと顔たち


 やはりコレだ。 今回のライブのタイトルにもなっている。私にとってはファンになるきっかけになった曲なので、ライブで観ることができて嬉しかった。

 

 曲数は多くても20曲と予想していたが、終わってみるとアンコール込みで24曲と、随分サービスしてくれた。おまけに長尺の「날 보고 뭐라 그런 것도 아닌데」(インプロ部分はCDの2倍か3倍ほどあったと思うが)を含んでいたので、時間にして2時間半くらい演ってくれたのではないかと思う。MCをこまめに挟んでいたので、それほど長くは感じなかったが。

 

 初ライブの充実感と共に会場を出ようとすると、開演前に物販でもらった抽選の結果が出ていた。なんと当選! というわけで、予め用意してあった『mono』のブックレットに6人のサインをもらってきた。韓国語はまだ全然話せないので、とにかく「解散前に日本に来てくれて有難う」ということを英語で(長谷川氏には日本語で)伝えてきた。
 それが終わって二度目の退場。ライブは素晴らしく、おまけにメンバーからサインをもらい、挨拶までできて。こんなに良いことばっかりの日もあるもんなんだなあ、と思いながら銀座線に乗って家に帰った。

(おわり)

 

【補記】

 年末の4日連続ライブ(最初は29・30・31日の3日連続だったはずだが、その前日に追加公演が入ったようだ)が無事終わり、遂に彼らの活動が(一旦)幕を下ろした。 10月の解散発表からわずか2ヶ月強、そんな短かったっけなと思うが、確かにあっけないほどスマートな幕引きだった。詳細なセットリストはまだ知らないが、ネット上のレポートによると来日公演とかなり近いものだったようだ。映像化してほしいなあ。
 来日公演では、一瞬一瞬を噛みしめるように味わってはいたが、とても味わいきれるものではない。来年でも再来年でも、また来てくれたら是非駆け付けたいバンドなのに、これで見納めとなってしまうのは本当に残念だ、とライブが終盤になるにつれつくづくと感じた。これが見られなくなるのは寂しい。月並みだが、今後の彼ら個々人の活動に大いに期待したい。