こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

「チャン・ギハと顔たち」来日公演に行ってきた(1)

 チャン・ギハと顔たちの(当面最後の)来日公演に行ってきた。今回の公演は12月12日の1日のみ、場所は渋谷・道玄坂にある duo MUSIC EXCHANGE
 いきなり余談になって恐縮だが、私が最初に買った韓国語の入門書に「토요일이 빨리 왔으면 좋겠어요.(早く土曜日になるといいですね)」という例文があって(土曜日に一緒にホンデに買い物に行くという会話だ)、私はその例文を見る度になんだか胸が締め付けられるような気がしたものだった。「早く○○の日にならないかなあ」という子供のような素直な気持ちを、知らぬ間にすっかり忘れていたと気付かされるからだった。
 しかし今回のライブ(に行けるということ)は、その懐かしい感覚を思い起こさせてくれるものだったと言える。チャン・ギハと顔たちは2010年以降毎年のように来日公演を行なってくれているようだが、前回が2016年の秋で、私が彼らのことを偶然知ったのはその直後なので、私にとっては最初にして最後のライブということになる。年末のソウルのライブはどう見ても行けなさそうなので。
 
 18時過ぎに開場し、ホールに入るとまずはいそいそと物販へ。2,000円以上買うと終演後に行われるサイン会...の抽選券が貰えるというので、ステッカーのセットと缶バッヂのセット各1,000円を購入。そうしている間にフロア最前列が埋まっていくのがもどかしかったが、何とか2列目ややシモ手を確保。チョン・ジュンヨプのベース捌きをトコトン見つめる所存だ。
 ステージには既に機材が並んでいる。ベースは年季の入った黒のフェンダー・プレシジョンベース(ピックガードはベッコウ柄)、足元にはコンパクト・エフェクターが2、3台。その後方にはキーボード(ノードの赤いシンセともう一台。どちらも割とコンパクト)。ドラムは黒いラディック。ステージ中央マイクスタンド脇にはモーグの小型シンセサイザーが置いてあり、チャン・ギハが使うのだなと見受けられた(この時に「チャン・ギハがシンセ弾く曲って何があったっけ?」とじっくり考えていれば1曲目を当てられたかも知れないが、不思議と思い浮かばなかった)。カミ手前方にはイ・ミンギのギターがエレキとアコギ1台ずつ。エレキは黒いテレキャスター・カスタムだがアームが付いているのが特徴的。アコギはどこのだったか見損ねた。その後ろには長谷川陽平のエレキ。これもどこのメーカーのか知らないが、ストラトキャスターを基調としつつもセンターピックアップが所謂リップスティック形で、リアとフロントにはハムバッカーを載せている変わり種である(色は緑)。足元には大きなエフェクターボードがあり、エフェクターが20台くらい並んでいた。相当重いだろうな、あのボードは。
 以上、ベース、ギター(イ)、ギター(長谷川)は、「初心」のプロモビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=q2Y1fTJ6-nE)で弾いているのと同じものと思われる。
 海外公演であるためか機材はシンプルという印象で(長谷川氏のエフェクター以外は)、実際終演まで楽器の交換は見られなかった。
 
 場内にはSEとしてStuffの『Stuff』が流れていた。開演までは1時間近くあり、ヒマである(ここに限った話ではないが、スタンディングの会場で開場から開演までを1時間も空けないでほしい)。後ろを振り向き、客の様子を見る。目算したところでは、集客は400人ほどだったのではないかと思う。多いのか少ないのかはよく分からない。ここ数年アルバムの日本盤が出ていないバンドにしては多い気もする。性別で言うと女性が圧倒的に多く、男性は10人に1人程度。また、こちらは比率は分からないけれども、韓国人の客がやはり一定数いる。その内のどれくらいがこのライブのために日本に来た人なのか気になるが、勿論分からない。場内アナウンスも日韓両国語で行なっているのが物珍しかった(同じ人が両方行っているのに感心した。日本人のようだったので韓国から連れてきたスタッフではないと思うが)。
 
 開演時間の19時ほぼキッカリだったと思うが、不意に会場が暗転し、メンバーたちがステージに上がってきた。
 セットリストは以下の通り(丸カッコ内の数字は収録アルバム。(-)はアルバム未収録曲)。
 
 
01. 마냥 걷는다(2)
02. 나 혼자(5)
03. 나란히 나란히(5)
(MC)
04. 거절할 거야(5)
05. 등산은 왜 할까(5)
(MC)
06. 나와의 채팅(5)
07. ㅋ(4)
(MC)
08. 아무도 필요없다(5)
09. 그 때 그 노래(2)
10. 별거 아니라고(5)
(MC)
11. インスト ~ 우리 지금 만나(2)
12. 빠지기는 빠지더라(4)
13. 풍문으로 들었소(-)
14. 좋다 말았네(3)
15. 새해 복(-)
(MC)
16. 초심(5)
17. 내 사람(3)
18. 날 보고 뭐라 그런 것도 아닌데(2)
(MC)
19. 싸구려 커피(1)
20. 달이 차오른다, 가자(1)
(MC)
21. 그건 니 생각이고(5)
(MC)
22. 사람의 마음(3)
 
[アンコール]
01. 그렇고 그런 사이(2)
(MC)
02. 별일 없이 산다(1)
 
 
 全体的な感想としては、「素晴らしいライブだった」の一言に尽きる。大はしゃぎして観ました。「素晴らしい」ということをもう少しだけ具体的に言うと、演奏が良く、音響も良く、そして曲が良かった。
 演奏はノリにノっていたと思う。ボーカルも絶好調と感じたし、この規模の会場でナマで観ると、一人一人の演奏をしっかり感じることができたし、その結果「やっぱり良いバンドだなあ」と改めて実感させられた。演奏の底力みたいなものをしっかり感じさせるバンドだ。あとコーラスの精度がかなり良いのにも驚かされた。
 音響についてもほぼ文句なしで、もどかしさを感じることなくライブに没入することができた。こんなにベースが常にしっかり聴けるライブは殆ど経験したことがないように思う。
 曲については改めて言うまでもないが、特に最新作『mono』はCDでは(その名の通り)モノラルで録っているせいもあってか、いやむしろ純粋にアレンジの問題かも知れないが、割とシンプルでキッチュサウンドという印象だったが、ライブではそれぞれの楽器がガンガン鳴っていて、ロックなサウンドになっており、非常にリフレッシュというか、活き活きした感じになっているのがとても嬉しかった。ライブ盤を『stereo』と銘打って出した方が良いんじゃないかと思う。『mono』からは全曲演ったことだし。その他にも、意外な曲も結構盛り込んでいて興奮させられた。
 
 以下、個別の感想などについては別稿で。(つづく