こんなんだったっけ日記

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パックンマックン

 最近読んで面白かった、『パックンマックン海保知里の笑う英作文』(扶桑社、2013年)。実は英作文の勉強がしたかったわけではなく(結果的に勉強になりましたけど)、紙の上ではあるがパックンマックンの漫才が楽しめそうだと思って手にしたのである。
 パックンマックン、僕は好きなんだけど、DVDなど出していないようだし、動画も全然上がっていない。もどかしいことである。この本を読んで改めてパックンマックンの評価が上がった。大いに笑わせてもらいました。
 本の内容は、副題に「ニッポンを英語で言ってみよう!」とあるように、現代日本の様々な文化(「梅雨」に始まり、「おでん」「新歓コンパ」「ゆるきゃら」「鍋奉行」等々)を英検3級レベルの英語で説明しようという有意義な趣旨で、元々ラジオ番組の1コーナーらしい。
 色々と発見があって、例えば高校生の頃にはrecentlyは現在形では使わない(nowadaysを使う)というように習った気がするけれども、パックンは現在形でもちょいちょい使っている。あとmaniaは現象を指すのであり人は指さない、というのも初耳であった。人はmaniacというのだそう。
 Babel Fishというノルウェーのバンドに正に「Mania」というカッコイイ曲があって、ずっと何かのマニア、つまり人についての歌だと思っていたのだけれど、アレも現象についての歌だったのか。まあおんなじようなもんか。 

 格好良いよねこの曲。バベル・フィッシュ、今どうしてるんだろうか。
 閑話休題。それにしても驚かされるのがパックンの日本語に対する洞察の深さである(これは本書の中でも自讃している)。例えば次のような遣り取りがある。

マックン:では「新歓コンパ荒らし」を英語でお願いします。
パックン:college club recruitment party storm。
マックン:stormじゃないでしょ? その「嵐」じゃないですよ。
パックン:荒らしは嵐ですよ。

 まあこれはジョークなわけだが、それにしても普通の日本人はこんなことサラッと言えないよ。「漢字が違うから別語だよ」と事も無げに言い捨ててしまう。「蛤」が「浜栗」であるのに気付かないようなものだ。
 尤も、細かいことを言えば「アラシ(荒)」のシは動詞を作る接辞(の連用形)で、「アラシ(嵐)」のシは風を意味する接辞(ツムジのジと同じ)という説が強いそうだから、厳密に言えば全く同じ語ではない。でも当然「アラ」は両者同一の語基の筈だ。鋭いぜパックン。


 なお『パックンマックンの笑われる英語 笑わせる英語』(青春出版社、2002年)というのも読んでみたが、こちらはイマイチだった。『笑う英作文』の方が遥かに面白い。
 あと、特に『笑われる英語 笑わせる英語』の方であるが、読んでいて爆笑問題と非常によく似た手法でやっていると感じた。タイタンのライブによく出ているそうなので、親交もあるのだろう。