こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』

 人に頂いたので読んだ。山崎ナオコーラは『週刊ブックレビュー』で顔を見たことがある程度で、作品は読んだことがなかったのだが、結構面白かった。他のも読もうか。今ハマっておる津村記久子と作風は近いかもしれない。同い年のようだし。ただやっぱり僕には津村さんの方が面白いか。

 犬井が面白い人物なのでもっと彼を書いてほしかった。彼を必ずしもアウトサイダーとして描かなかったのが却ってリアルであった。
 主人公である丸山の性格面での不器用さは、自分に通じるところがあってちょっといたたまれなく感じた。
 相手の笑い声が綿菓子のようなのに、つられて笑った自分の声が干菓子のよう、という表現に唸った。要するにそういう自己認識が、いたたまれなく思わせるのだが。犬井から、先生に「丸山さんをよろしくね」と頼まれたということを明かされて丸山がわっと泣き出すシーンがあるが、そんなこと明かされたら僕だって泣いてしまうんじゃないかと思う。情けなさ過ぎて。

 それはそうと「萩原流行」というのには大笑い。