こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

『ニューミュージック・マガジン』1977年12月号

「70年代のロックと商業主義 日本とアメリカの隙間から音楽と音楽産業を見る」 
 福田一郎亀渕昭信、小倉エージによる鼎談(10月17日)。巻頭特集である。

亀渕 (前略)で、ブームが終わったら、誰も顧みない。でしょ? で、そういう散々たる状況を何度もくぐり抜けてきてるわけじゃない?でも、子どもたちはみんな知ってると思うんだ。そういうブームに惑わされちゃいけないって。自分たちの音楽を、みんな、今ちゃんと聞いてんだろ? ん?
小倉 その辺が、すごくわかんないんですよね。
亀渕 オレ信用してるな。
小倉 まあ、なんて言うかな、昔よりも幅広く聞いてるっていうのは確かですよね。井上陽水を聞いて、ベイ・シティ聞いて、かたやデオダードやジョージ・ベンスンとか、マイケル・フランクスやら……。それは、昔、たとえばアストラッド・ジルベルトが売れたりしたのと似てたりするのかもしれませんけれど。
亀渕 FMはまだそんなことないけど、AMの場合はさ、最近は、たとえばスティーヴン・ビショップのあとにピンク・レディかけたりするよね。
小倉 いや、でもそこまでススんでないんじゃないですか。そんなにいつもラジオ聞いてるわけじゃなくって、どっちかっていうとFENばっかりみたいな感じですけど。ただ、思うのは、FENのヒット・パレードみたいな中でショーン・キャシディなんか聞くとカッコいいのに、日本の番組だと、アイドル・スター総出演みたいな感じで、ベイ・シティもショーン・キャシディもって、ドドっとくるんで、なんかこう胃にもたれちゃうみたいなところがありますよね。
福田 ただね、ピンク・レディのコンサートで一番カッコいいのなんだっていったらさ、ヒット曲はもちろんなんだけどさ、「モータウン・メドレー」なんだよナ。だからね、ピンク・レディもモータウンもかける番組があっていいわけね。だって、子どもたちは満足して聞いてるんだもの。ピンク・レディのライヴなんて、半分以上が外国の曲だもんな。そのへん、ファンの子どもたちはわかってんだけども、レコード会社とか放送局の連中がわかってないってことなんだよな。
亀渕 ショーン・キャシディと「ダ・ドゥ・ロン・ロン」がおもしろいようにね、ピンク・レディの「ウォンテッド」はおもしろいですよ。
小倉 サイコー、あれは。ほんとうに。
福田 とにかく、日本の流行歌もアメリカの流行歌もいっしょくたにして平気でかけられるような、本当に音楽の好きな人でね、そんな人がしゃべるような番組があったら、もうちょっと事情が変わったんじゃないかって気がするんですよ。

 引用以上。
 ピンク・レディーをラジオで流すことを「ススんでる」と見なしているのが興味深い。