7月5日のニューヨーク公演から復帰、とのことで気がかりだったポール・マッカートニー。しっかりカムバックしてくれたようで一安心である。
カムバック自体もさることながら、もう一つ気がかりだったのがセットリスト。海外のサイトで見てみると、どうも去年の来日公演と殆ど変わらないようだが、目に付くのは新作から「On My Way to Work」を演ったことと、アンコールで「When I'm Sixty-Four」(!!)を演ったことだ。「On My Way to Work」は確か、昨年の来日公演でもサウンドチェックで演っていたのではなかったかな。好きな曲だが(歌詞もいい)、大規模会場向きではないような気も。そう言えば「Appreciate」がシングル・カットされたとかいう話なのに(5月の来日公演でも演るという噂があった)、演らなかったんだ。ともあれこの日は新作から5曲を披露(昨年の来日公演では4曲)。やっぱり気に入っているんだな。
それから、「When I'm Sixty-Four」。なんで今更!? 確か64歳の頃には演らなかったと思うが。先月72歳の誕生日を迎え、「ま、当時思い描いていた64歳って今くらいの感じかなあ」と思ったのか・・・不思議だ。
今年の来日直前にピーター・バラカンさんが行った電話インタビューでは「今回(つまりこの時には実現しなかった「Out There Japan 2014ツアー」)は、前回(去年の来日公演)が第1部だとすると第2部という感じ」というようなことを述べたそうで、そうするとセットリストも結構変えてくる可能性が高い、と思う。今から楽しみだ。そもそも振替公演がいつになるかも全然発表されていないのだけど。
さて、これまた来日直前に『NEW』のジャパン・ツアー・エディションとかいうのが出た。80分以上のDVD付き。80分って言っても大方はツアーとアルバムのドキュメンタリーなんだけど、でもこれが良かった。これを観て『NEW』の魅力が結構判った。前作の『Memory Almost Full』(2007年)が大好きなもんで、どうしてもあれとの比較で見て(聴いて)しまって「ちょっと違うな〜」と思うところもあったのだが、別個のサウンドと割り切って聴いてみることができた、このドキュメンタリーのおかげで。いいぞこれは! そして去年買って以来初めて、歌詞を見ながら通しで聴きました。
そう言えば前々作『Chaos and Creation in the Backyard』(2005年)も、CDだけ聴くと今一つだったのに、同梱のドキュメンタリーDVDを観て不意に魅力が判ったのだった。いい経験だ。
(補記)改めて読み返してみるとこの『NEW』ドキュメンタリーのどこが良いのか全然書けていないので少々補足。アルバムの方のドキュメンタリーは、ポール本人に加え、バンド・メンバーと4人のプロデューサー(プロデューサーを4人も立てたというのが『NEW』というアルバムの大きな特徴の一つなのです)の語りに、レコーディング風景を交えた構成である。これが、非常に良い雰囲気で本作が制作されたのだということと、本作が(上記のプロデューサーの件も含め)様々な新しい試みにチャレンジしながら作られていったということがよく判るものになっているのです。
そんなわけで、まだ買っていない人は是非。
- アーティスト: ポール・マッカートニー,ポール・エプワース
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2014/05/07
- メディア: CD
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