こんなんだったっけ日記

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『関ジャニ∞の元気が出るCD!!』感想(総論編)

 本作が前作の失望感を払拭してくれる出来映えであることは一聴しただけで判った。もっと言えば1曲目を聴き2曲目が始まったところで確信した。
 面白いもので良いアルバムというのはそれを聴く前に何となく察せられるものだ。前々作は「Juke Box」というタイトルを知った時点で期待が持てたし、今回は・・・まあ今回はタイトルは不安要素だったのだけど、雑誌のインタビューとか立ち読みしていても、何となくではあるが「今回は期待できるかもな」と思えたのだった。
 で、実際おめでたいことにその予想は当たったわけであるが、本作は前作と較べてどこが良かったのでしょうね? 実は前作のことをあんまり覚えていないのでよく比較検討できないのだが、まずシングル曲群が前作より良かったということはある。前作のシングル群は本当にすっきりしないものが多かったのだが、今回のは、確かに絶賛するほどの曲はなかったけれども、いずれも「なかなか良い」という程度までは達していたし、とすると、アルバムに位置づけられることで「化ける」可能性を感じていた。
 そうなのだ。実際、このアルバムの中ではシングル曲群がまるでリマスタリングしたかのように(まあ本当にしたのかもだけど)、生き生きと生まれ変わって聞こえる。これが本作の成功の見逃せない一要素だと思う。
 では、アルバム曲はどうか。バンド曲が増えたという感想を持つ人は多いと思うが、より重要なのはそれらが「ロックンロール」であるということだ。個人的には、本作の実質的なオープニングがOKAMOTO'S提供の「勝手に仕上がれ」であり実質的なエンディングがサンボマスター提供の「ふりむくわけにはいかないぜ」であるということが、本作が名盤となったことを決定付けているように思う。則ち(ロッキングオン風に書くならば)本作は「ロックンロールの輝きと切なさ」で縁取られた作品なのだ。加えてKANA-BOON峯田和伸といったミュージシャンが同様の彩りをもたらしているし、更に言えばメンバー自作曲である「バリンタン」もロックンロールだ。
 また本作は、個人的には何となく『PUZZLE』辺りを想起させるところがある気がしますね。「WASABI」は完全に「ブリュレ」のアップデート版だし、「スペアキー」は「さよならはいつも」(これはまあ『ズッコケ大脱走』の曲ですが)っぽい。そして実は、上述の一群のロックンロール曲も、この『ズッコケ大脱走』及び『PUZZLE』で非常に重要な役割を果たしていたTHEイナズマ戦隊の楽曲に相当するものなわけだ。
 その一方で「韻踏ィニティ」や「前向きスクリーム!」、自作曲の「元気が出るSONG」なんかは、前作・前々作の雰囲気を継いだものと取れる。
 以上を強引にまとめると、本作は『PUZZLE』期のワクワクする彩りを、彼らの「今」によってアップデートしたもの、ということになろうか。


 さ、ひとまず理屈を付けたところで感想に戻ると、本作は「元気が出る」と銘打つだけあって確かに楽しい。聴いていると体を動かしたり、ステップを踏んだり、駆け出したりしたくなる曲が詰まっている。歩きながら聴くのがいいと思うなこれは。
 アルバム全体で約61分と相変わらず長めではあるが、各曲がそれほど長くないせいか(全て4分台までに収まっている)、これまでのアルバムより短く感じられるのも好ましい点だ。
 多分サウンド的にも、前作に較べるとちょっと削いで、圧迫感を減らしたんじゃないかな。そこも私なぞが聴いていて自然にノレる要因だと思う。 

 
 しかし、いくら本当に元気が出るからってこのタイトルはないだろうよ、やっぱり。ジャケットもどうしようもない。安っぽすぎる題字や、招き猫は、まあ「元気の出るテレビ!!」を模しているのは判るけれども(それだって今時どれだけの人が判るというのか?)、だからなんなんだという。裏ジャケットに書いてある、英題らしき「GENKICD」というのも、どうも・・・。まあそういうダサさもロックンロールの御愛嬌と言って言えなくもないが・・・。因みにメンバーが宇宙飛行士の格好をしているのはちょっとレッド・ツェッペリンを思い起こさせるが、まあ無関係でしょうね。

関ジャニ∞の元気が出るCD!!

関ジャニ∞の元気が出るCD!!