こんなんだったっけ日記

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【旺福】新作の日本盤について(1)

 旺福の新作アルバム『阿爸我要当歌星』が日本でも発売になる。そもそも本国である台湾で出たのが多分7月7日らしいのだけど、先行曲(表題曲と「布穀鳥」)がYoutubeでフル試聴できて、いつの間にかそれがアルバム全曲のフル試聴になっていて、結局CDとしてはいつ発売になったのか、ちゃんと把握できていなかったのだが、知らない内にアマゾンでは「売り切れ」となっていて、仕方がないので中華グッズの通販で探すことに。ところがコレが店によって値段に差があるのですね。1000円くらい開きがある。2500円のところで購入。送料を入れると3000円弱か。まあ日本でアルバムCDを買うのとそう違わない値段で手に入ったわけである。それが7月の末頃。感想を書こう書こうと思いつつそのままになっていた(そういうネタが幾つもある)。
 全体的な感想としては、ガツン!と来る曲はあまりないが、各曲の質は充分で聞き飽きない、という感じか。「我夏流」や「動一動」はPVも作られただけあってかなり良いですね。アルバムを締めくくる(旺福としては珍しい壮大なバラード)「On And On」も、曲だけ聴いているとちょっと大仰かなあと思っていたのだが(ゴスペルっぽいコーラスも苦手)、PV付きで聴くと印象が改善されました。



 で、早くこれを引っ提げて来日公演して欲しいなあ(なんかフェイスブックを見るにプライベートではちょくちょく来てるみたいなんだけど、大阪とか沖縄とか)、でもそれにはまず日本盤が出ないとなあ、と思っていたらフェイスブックにて「日本語詞版の歌入れの為の歌詞カード」なんてのが出て来て、おっいよいよかと思っていたらアマゾンに発売予告が出ていた。11月18日の発売だそうです。先述の通り全曲YouTubeで聴けはしますが、まだCDを持っていない人は是非買って下さい。
 さて日本盤に際して、中身はオリジナル+加藤ひさしによる日本語詞バージョン数曲、というのが予想できたが、問題はジャケットである。これまで、彼らのアルバムは(台湾盤をほぼそのまま輸入した『飛向你飛向我』を除くと)ジャケットをオリジナルと改めるという方針を採ってきていた。それどころか『青春舞曲』や『旺福愛你』では曲順まで変えている。で、そのジャケットなのだが、『青春舞曲』は(オリジナルのジャケットがダサダサだったのに較べると)日本盤の方が良かったし、『わんだふう(旺得福)』は絵柄は違うがどちらも同じ画家(友沢ミミヨ)の同じような絵だったので「まあどっちでもいいか」という感じだったのだが、問題は『愛がいっぱい(旺福愛你)』であった。これはオリジナルのジャケットが素晴らしいんですよ。

 森の中のお茶会という趣で、なんともお洒落ではないですか。確か本国でデザイン賞みたいなのを穫っていたのではなかったか。デジパック仕様で、ブックレットを含めたケースのデザインも良い。しかもシール等のオマケまで付いていた。言うことなしである。余談ながら上の写真では2枚映してあるけれど、本当はもう1枚持っている。1枚は普通に買ったもの、1枚はプレゼント用に買ったものの何となくあげ損ねたままのもの(よって未開封)、1枚はお茶の水ディスクユニオンで300円で売っていてオマケのシール目当てに買ったもの(ちゃんと入ってた)である。
 さて、上に対して、日本盤で改められたジャケットがこちら。

 どうですかコレ。スーパーのワゴンセールで売ってるCDかなと思うくらいに安っぽいデザインである。一応アメリカ盤の『HELP!』をパロった感じにはなっているが(裏ジャケは『ヤァ!ヤァ!ヤァ!』のパロ)、全然誉められた出来ではない。
 いや、意図は判るんですよ。コレクターズの加藤さんが推してきたバンドですからね。元のジャケットみたいなオシャレな感じではなく、あくまでも「モッズ」一派であるということが明示されるようにデザインしたということでしょう。その結果がコレ。
 そういう忌まわしき前例があったので、今回の新作がどう扱われるかというのもファンにとっては自ずと不安視されるモノなのである。
 そんな新作の本国盤ジャケットはこちら。

 判りにくいけどサイズは最近流行りの7インチ風。つまりちょっと大きめである。2枚並んでいるのは、上記の通販サイトで買った1ヶ月ほど後に、中国人の知人から誕生日プレゼントとして貰ったため。「日本ではまだ出ていないので持っていないと思った」との由。勿体ないと言えば勿体ないのだけども、デザインがアンディ・ウォーホル風なので、並べるとイイ感じである。
 ところでこのジャケット、実はクリアケースが被せられているのですが、これを外すとなんと以下のようになるのである。

 合わせ絵になっていて、ジャケット本体には「色」しか描かれていなかったのだ。台湾盤を買った人は誰もが最初は驚いたはず。
 しかもクリアケースの方を見ると・・・これって『風街ろまん』ではないのか? 他人の空似かなあ。
 中に収められたブックレットも華やか且つスタイリッシュで良い。ブックレット中の写真に、細かい切り紙をブワーっとまき散らしたものがあるのだが、この切り紙の現物らしきモノが何十枚も挟み込んである。面白いけど、扱いに困る。捨てるのも躊躇されるし。おまけシールの方が良かったな。あとディスクが異様に取り出しにくい設計なのもマイナス。
 それはともかくとしても、ジャケットデザインは大変面白い今作、一体日本盤ではどうなるか? 勿論「オリジナルそのまま」というのが最も常識的な対応である、と僕は思うのだが・・・アマゾンに示されている画像からすると、今回も変えるようです。本作やそれに伴うライブの広告用に本国でも用いられているらしい写真(CDのブックレットでの写真と同じフォトセッションのもの)なので、写真自体は決して悪くはないのだが、どうして元が良いのをわざわざ別物に差し替えるのか、理解に苦しむ。流用する方がコスト的にも楽ではないのだろうか?(つづく)

パパ アイ ウォント トウ ビー ア スター (阿爸我要當歌歌星)

パパ アイ ウォント トウ ビー ア スター (阿爸我要當歌歌星)

('16.10.15補記)下記コメント欄の如く、なんと加藤ひさし氏から日本盤のジャケットについて御教示を頂いた。権利関係が上手く処理されておらずオリジナルのジャケットをそのまま使うことが出来ないのだという。『旺福愛你』などジャケ買い必至の可愛いデザインなので、実に勿体ない話である。『阿爸我要当歌星』の日本盤ジャケは多分台湾で撮影された物のはずだから(同様の写真がアルバムのブックレットや台湾での告知ポスターなどに用いられているので)、台湾製だからダメというのでもないらしい。難しい話である。
 ともあれ情報を提供下さった加藤さんには改めてお礼申し上げます。有難うございました。