こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

 『日本歴史』最新号(2013年2月号)にある鈴木国弘氏「中世天皇の「諱」に現れた奇妙な傾向」は、中世の天皇のうち諱に「仁(ヒト)」の付かないのがたった8人であることと、その8人が承久の乱南北朝の乱などに関わったいわば「反逆」の天皇であることを指摘しており、僕のような門外漢にも興味深く思われたが、この話をするのに丸谷才一の「やんごとなき名づけ」(『猫だつて夢を見る』所収)の引用がないのはどうもマズいんじゃなかろうか。
 尤も、鈴木氏の文章によると氏はこの「奇妙な傾向」について3,40年前には気付いていたとのことで、「やんごとなき名づけ」が『オール讀物』に掲載されたのは1988年頃のようだから、これ以前にこの問題について氏が何らかの論考を公表しているのならば、プライオリティーは鈴木氏にあるということになると思う。しかし今回の文章からはそのようなことは読み取れなかった。単にこのエッセイのことを知らなかったのか、知っていて引用の価値無しと見なしたのか。