こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

ザ・ビートルズ展

 日本橋三越新館で催されている「ザ・ビートルズ展」に昨日行ってきました。一昨日、偶然広告を見かけてこれは行かなきゃ!と。今年はビートルズのレコード・デビュー50周年ということで、本展覧会もこれに因んだものであろう。
 しかし50年か。自分がビートルズに親しみだしたのが90年代中頃だから、なんとなく1960年代というのは「30年前」というイメージが染みついているのだが、それがいつの間にやら50年になっているのだから恐ろしい。
 それはともあれビートルズ展。ビデオなんかも流れていたが、手紙やら契約書やらの紙媒体資料が結構多くて、誰にでも楽しめるというものでもない。ただ、当時の録音機材やカメラ、ポールとジョージが通った学校の机や制服の帽子や生徒手帳(生徒の名簿も載っており、「J.P. McCartney」もしっかりある。なおJはJohnではなくJames)、またメンバーが幼少時代に過ごした家のドア(!)なんかも展示されており、ビートルズ展というだけでなく「1950年前後のイギリス」展にもなっていた。
 個人的に興味深かったものいくつか。
・ジョンとポールが出会ったことで知られるセント・ピーターズ教会での催し物のパンフレットが展示されていて(あまりに綺麗だったのでレプリカか)、そこに「THE QUARRY MEN SKIFFLE GROUP」としっかりタイプしてあったこと。まさに歴史的遺物と言うべき。
・日本公演の時に、武道館の職員?がしていた腕章をジョンが面白がって幾つか貰ってきたというのが展示されていたが、その一つに印字されているのが「日本武道館 経理課長」。ええの選んだな。「極度乾燥(しなさい)」のスーパードライ(アパレルメーカーです)を想起させるセンス。
・楽器の展示には(当然レプリカであろうが)やはり目を奪われる。初期のものと、ルーフトップのものの2セット。初期のものが置いてあるところではBGMで「She Loves You」なんかがかかっていて、ああこの楽器(レプリカだけど)からこの音が出ていたんだなあとしみじみ。全体的にこの「当時を仮想体験してしみじみ」を狙った展示でした。しみじみするスキルがない人が行ってもあんまり面白くないと思います。特に「THE BEATLES」ロゴ入りのラディック・ドラムに痺れた。
・但し、これらの楽器って大方は楽器屋でもおんなじようなのが見られるので、どうせならポールのリッケンバッカー(サイケ・ペイント)なんかを置いてほしかった。日本の楽器屋さん(「WITH」か?)が完全再現したものを作っていたはず。10年くらい前の『モノ・マガジン』誌で見た。
・LP『With The Beatles』と『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の各国盤が展示されていた。『With〜』の台湾盤は、写真(オリジナルとは全然別物)の質も悪いし(しかも何故か衣装の部分がベタ塗り)、曲順は滅茶苦茶だし(これは別に台湾だけではないが)、その曲目が部分的に手書きだしで、なかなか凄かった。『Sgt. Pepper's』の方は、原題とともに「披頭合唱團寂莫倶樂部樂隊」と印刷されていた。推察するに「披頭」はビートルズのことなのだろうが(こういう推察が可能なのが同じ漢字文化圏にいる便利さである)、じゃあこの一文は一体バンド名なのかアルバム名なのか? 難解である。
・『The Beatles(ホワイト・アルバム)』のジャケットの別案というのがあって、初めて見たので驚いた。かなり質の粗い印刷だったが、なんか、海岸があって、白い崖にラシュモア山のように(但しあれよりもちょっと曖昧な感じで)4人の巨大な顔が浮き出ているという、ちょっとヒプノシス風の面白いデザインだった。もしあれが決定版となっていたら、(このアルバムが「ホワイトアルバム」と呼ばれなかったろうことは勿論として)ディープ・パープルの『In Rock』のジャケットも今のとは別のものになっていただろう。
ホワイトアルバムと言えば、これの表面にスタンプされた製品ナンバー?が「A0000001」というものも展示されていた。ジョンが所有していたらしい(そう言えばジョン・レノンミュージアムの展示品ってどうなったんだ?)。
・『Abbey Road』のジャケット写真の別テイクも幾つか出ていて面白かった。しかし、他のテイクがいかにも歩いている途中を撮ったという感じなのと較べると、決定版のテイクはいかにも足並みを揃えて、静止した状態で撮ったように見えるな。
・幻のアルバム『Get Back』のジャケット案も出ていた。この写真自体は勿論『青盤』でよく知っているわけだが(青盤聴いたことないけど。赤盤も)、「GET BACK」のタイトルが印字されたジャケットの形で見ると、やはりまた「しみじみ」してしまいますね(ところで『Let It Be...Naked』はどうしてタイトルを『Get Back』にしなかったんだろうか?)。
・楽しみの一つである物販は、購買意欲をそそるものが置いてなかった。結局クリアファイルを2つ買っただけ。

 これを機に初めて行った三越。地下一階の総菜売り場は非常に良い匂いに満ちていて、空腹の身で歩いているとちょっと発狂しそうになった。