こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

69 sixty nine

 村上龍の青春小説『69 sixty nine』を久しぶりに読んだ。本当は村上春樹糸井重里の『夢で会いましょう』というショートショート集を読み直したくてブックオフで探してみたが見当たらず、春樹がないなら龍で、というわけで105円で買った。
 前に読んだのは高校2年か3年の頃。確かその前にどういうキッカケだったか『長崎オランダ村』という小説を読んでこりゃ面白いと思ったのだが、それに続編ならぬ前編があるというので読んだのがこの『69』である。
 村上龍と言えばセックス&バイオレンスの印象で、食指が伸びないでいて(そんな中でどうやって『長崎〜』を見つけ出したのか不思議だ)、『69』なんてタイトルからしてヤバそうだと思ったが、1頁目から随分ヒョーキンな感じで、かなり意外だった。著者自身が後書きで「楽しい小説」と称している通りである。繰り出されるゴチックと「…というのは嘘で」に笑わされた。レッド・ツェッペリンウェス・モンゴメリーなんて言葉が出て来るだけで楽しかった。
 主人公ケンの自分勝手さが1969年という年が持っていた魔性を纏って周りの人々を動かしていくさまが痛快。再読だが、こりゃ面白いやと思って一日で読んでしまった。ラストシーンは感動的なのにすっかり忘れていた。もう忘れまい。
 そういや初めて読んだ時は、高校の図書委員だったので図書館新聞にこの本の書評まがいを書かせてもらった。何を書いたのか殆ど覚えていないが、反抗児とロック好きは読むべし、というようなことだったように思う。今なら庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』をセットにして、1969年には色んな18歳がいたんだなあ、みたいなことを書きたい。