こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

葵(二)

 新大系で10から16まで(ほどほどにつけて〜おぼし寄らざりけり)。
 前回読んだ範囲に既にあったのだが、物見車から着物の裾が出ているというのが、どうもよく判らない。一応、頭の中にイメージは出来ているのだが、それが結構マヌケな図なので(幕の下から裾がべろーんとはみ出ている)、正しいのが甚だ心許ない。絵巻なんかで見られるのかしらん。
 誰かと思ったら源典侍なのでびっくりした。
 話としては引き続き、可哀想な六条さんということ。伊勢下向は、源氏との関係に悩んでという部分が多分にある筈なのに、「数ならぬ身を見まうくおぼし捨てむもことはりなれど」などと言ってのける源氏。酷い。
 葵上に物の怪が憑く。それも一つや二つではないらしい。「過ぎにける御乳母だつ人、もしは親の御方につけつつ伝はりたるものの、弱目に出で来たるなど、むねむねしからずぞ乱れ現るる」って、なんか唐突にびょんびょんお化けが出て来る。それをごくごく冷静な筆致で書く紫式部は一体どういう考えなのか。憑かれている葵上(なんか、エヴァンゲリオン綾波レイを彷彿させませぬか)は、気の毒なのだが、直前に車争いのことがあるので、あまり同情する気になれない。あれもまあ発端は六条側の粗暴な若い衆なのだろうが、結局は大殿の方が権威を笠に着てというか、まあ思うままに「のした」わけで、しかもそれにあたっては(今回読んだ範囲にもあるように)直接の指示はなかったにせよ葵上の「やっちまいな」という意思があったような感じが、なんとなくするわけである。