こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

空蝉

 一帖。
 のっけから「我はかく人ににくまれてもならはぬを、こよひなむなじめてうしと世を思ひ知りぬれば、はづかしくてながらふまじうこそ思ひなりぬれ」。後には「あこはらうたけれど、つらきゆかりにこそ、え思ひはつまじけれ」とまで。こんな残酷なこと子供に言うか。「我はかく人ににくまれてもならはぬを」なんてことを躊躇せずに言えてしまうのも普通の感覚ではない。お姉さんにも「いとかう心おさなくをかつはいかに思ほすらん」とか言われるし、「右左に苦し思」う清史郎君、じゃなかった小君は気の毒だ。

 軒端萩については、どう言えばいいのか。まああんまり頭よくなさそうだからいいか・・・とか言うのもまづいか。しかし「顔をもたげたるに、ひとへうちかけたる几帳の透き間に、暗けれどうちみじろき寄るけはひいとしるし」って、完全にホラーだ。
 あと見所は、源氏が年食った女房に見つかりかかるシーンか。全然バレていないんだけど。源氏物語にはこういう場面が意外とある。一番の傑作は「手習」か。