こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

箒木(五・六)

8日
 新大系で22〜28(からうして〜おほかるべし)。空蝉登場。その弟も(加藤清史郎君を思い出す)。
 「ねたう、心とどめても問ひ訊けかし、とおぼす。」いいですねここ。リアルだ。
 ささっと手を出した相手なのに「年ごろ思ひわたる心のうちも聞こえ知らせんとてなん」とか平気で言うんだよな。

 女は女で、男が「あなたが好きだ」と言っているにも関わらず、「いとかくうき身のほどの定まらぬ、ありしながらの身にてかかる御心ばへを見ましかば、あるまじきわが頼みにて、見なをし給ふ後瀬をも思ひ給へ慰めまし」と返すのだ。「あなたは私が嫌いなのだ」という前提を設定した上で、状況が今と違えばあなたも私を悪からず思って下さるのでしょうが・・・と述べる断り方なのである。推論は正当だが前提がメチャクチャだ。凄いなあ、平安時代の女の人は本当にこんな言い方をしたのだろうか。
 
9日
 29〜帖末。
 源氏が、思い通りに動いてくれない小君に、「猶あひ思ふまじきなめり」とか言うんだ。小さい子供相手に。確か後にも同様のシーンがあったと思うが、ひどい奴さ。「あこは知らじな。その伊予の翁よりは先に見し人ぞ」とか。厚顔無恥というやつではないのか。
 空蝉が弟を叱りつけるところが面白い。「かくけしからぬ心ばえは使ふものか」とか言ってね。しかし小君は可哀想だけれど。
 終盤の、諦めの付かない様子の源氏の描写も面白い。締め括りも流石に上手いなあと思わせる。やっと箒木終りました。