こんなんだったっけ日記

さよなら はてなダイアリー

箒木(三)

 新大系で11〜16(はやうまだいと下らう〜うちわらひおはさうず)。指食いの女と浮気な女の話。
 私は何を隠そう、源氏物語に出て来る数多の女の人の中で、この指食いの女が一番好きだ。私だったら幸せにしてやったのにと思うが、生まれるのが千年遅かった。というよりも元よりフィクションであるが(虚構、と言うとぐっと筒井康隆ぽくなる)。健気で気の毒なんだ。このキャラクターもいいのだが、話も結構見所がある。左馬頭が、女の嫉妬するのを直そうと思ってとくとくと説教すると、「すこしうち笑ひて」反論するというのも凄みがあるし、そのあと感情を顕わにしてゆき、果ては指噛みである。嗚呼、ドラマだなあ。男もいい具合に小物っぷりを発揮している。
 話の締め括りも、しんみりした感じで悪くない。それにしてもその後の頭中将の頓珍漢なコメントは一体なんなのか。
 浮気の女のほうは特に思うところなし。